28日、日本ではじめてAIに特化した法律「AI推進法」が成立しました。急速に進化するAIの技術に、制度は追いついていけるのでしょうか?

生成AIでトラブルも...罰則は必要?

山形純菜キャスター:
28日成立したAI推進法は、日本で初めてAI=人工知能に特化した法律で、AIの活用を推進し、政府の体制強化を目指すものです。この法律で、総理大臣をトップとした全ての閣僚が参加する“AI戦略本部”が新たに設けられるほか、AIの開発や活用に関する“AI基本計画”が策定されます。

AIを利用した「犯罪」「悪質な行為」については、事業者に対し国の調査・指導が可能ですが、罰則はありません。なぜ罰則が設けられなかったのでしょうか?

TBS報道局政治部 防衛省キャップ 渡部将伍 記者:
具体的な罰則は新たに作らなくても、既にある法律で対処できるというのが基本的な政府の考え方なんです。

山形純菜キャスター:
過去にあった生成AIを巡るトラブルとして、具体的に見ていきます。

▼フェイク動画
“ニュース番組”に模した動画で、岸田前総理が卑猥な発言を繰り返す

▼フェイク画像
2022年台風15号、静岡での被害のニセ画像を投稿

▼「ジブリ風」画像
SNSでブームになる一方、物議を醸す

こうした事例についてはどうなんでしょうか?

渡部 記者:
先ほども説明した通り、今ある法律で対処できるというのが今回の政府の考え方なんです。例えば岸田前総理のフェイク動画については、今の法律に当てはめると、岸田前総理に対する名誉毀損や侮辱罪などに問われる可能性があります。

また偽情報であることや、勝手にデザインを使ったことに対しては、テレビ局への偽計業務妨害という罪にも当てはまる可能性があります。

フェイク画像や今流行りの「ジブリ風」画像も、今ある法律でカバーできるのではないかということが今回、罰則が設けられない理由です。