コメの値下がりを阻む入札制度

政府は令和5年度、集荷業者からコメを60kgあたり1万2829円で買い入れました。現在、そのコメを集荷業者に60kgあたり2万2477円で入札してもらう形となっています。結果、約1万円の価格差が生じているのです。

この価格差について14日、自民党の小野寺政調会長は「国が儲けてどうするんだ」と指摘しました。

コメの流通に詳しい流通経済研究所の折笠俊輔 主席研究員は「備蓄米は買い入れ時の価格ではなく、値上がりした現在の市場価格を基準に入札している」といい、このシステムである限り、値段が上がるのは仕方がないというのです。

政府が買い入れ、集荷業者が入札というシステムはある意味オークションなので、価格がどんどん上がっていくのは確かに当然ですよね。コメの価格を下げたいのに、どうなのでしょう…。

高柳光希キャスター:
そもそも備蓄米というのは、災害など有事の際にしっかり出せるようにするためのコメですよね。

井上キャスター:
まさにそうですね。「平成の米騒動」をきっかけに始まった備蓄米制度は、気象状況による供給不足や地震などの緊急時のため備えておこうというものなので、入札制度である程度、価格が変動するのは仕方がないというものです。

そのため、今回の「市場価格を下げる」「供給量を増やす」といった想定外の使い方では、コメの価格は下がりません。

18日、江藤農水大臣は「国有財産を売るときには競争入札が大原則。検討はしましたが、やはり入札せざるをえない」と話しました。

つまり、「国有財産である備蓄米を売るときは入札制度にという法律があるため、法律を変えようと検討はしたものの、やはり入札するしかないという結論に至りました」ということです。

TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
法律を変えればいいのかもしれませんが、備蓄米は「国民の税金で国がためておくコメ」です。そのコメを売るときには、そのとき売れる適正な値段で売らないといけません。

国民の財産を預かっている国からすると、安い値段で売ってしまったら、国に入るお金が少なくなってしまいます。それではまずいので、このような仕組みになっています。

備蓄米を安い値段で売れば、市場のコメの価格は下がるかもしれません。しかし、(国民の財産なので)安くは売れない。結局、全体として価格がなかなか下がらないということになっています。