12日の日本市場では円が対ドルで一時1.5%超下落。週末に貿易協議を行った米国と中国が著しい進展があったと発表したことで、投資家のリスク選好姿勢が強まり、円が売られた。債券も安く、株式は続伸。

関税引き上げの応酬を続けてきた米国と中国はスイスで開かれた2日間の協議を終え、「著しい進展」があったと発表した。

米国と中国はスイス時間12日午前9時(日本時間同日午後4時)に共同声明を発表。米国は中国に対する関税率を14日までに145%から30%に引き下げ、中国は米国産品に対する関税率を125%から10%に引き下げる。いずれも期間は90日間。

声明を受けて関税を巡る米中対立の緩和期待が高まり、円相場は一時1ドル=147円台後半まで下落。日経平均先物は3万8300円台に上昇している。

外国為替

円相場は下落し、対ドルで約1カ月ぶり安値を更新した。米中協議の進展を受けて円売り・ドル買いが優勢となった。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは電話取材で、米国と中国が相互の関税率を一定期間引き下げることで合意したことについて、引き下げ幅が大きく市場にとってサプライズだとし、ドルは対円で148円程度まで上昇する可能性があると述べた。

債券

債券は下落。米中貿易協議を受けて投資家のリスク選好姿勢が強まったほか、13日の30年国債入札に対する警戒感から売りが膨らんだ。

みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、30年債入札に向けて不透明感が漂っているとした上で、「発行減で需給的に締まりやすい状況でも超長期セクターがスティープ(傾斜)化するのは超長期の買い手不足としか言いようがない」と指摘。「米中の関税対話も道半ばの中、様子見スタンスを貫く投資家も多い」と見ている。

新発40年債利回りは一時3.44%と過去最高を更新し、新発30年債利回りは2.955%と約25年ぶりの高水準を付けた。超長期債の入札は30年債を皮切りに4週連続で予定されており、需給の厳しさが意識されている。

新発国債利回り(午後3時時点)

株式

株式は上昇し、TOPIXは2017年10月以来の12営業日連続高となった。米中の緊張緩和への期待から買いが先行した後、短期的な過熱感から利益確定売りに押されて下落に転じる場面があったが、終盤に持ち直した。

金利上昇で銀行や証券、保険といった金融株が買われ、円安を受けて自動車や機械など輸出関連株も高い。半面、トランプ米大統領が処方薬の価格を引き下げる大統領令に署名する意向を表明し、第一三共や中外製薬など医薬品株は軒並み安となった。

大和アセットマネジメントの富樫賢介チーフストラテジストは、「米中貿易交渉への期待から既に上げてきたこともあり、円安が進んだ割にTOPIXの上げは小幅」と述べた。今週は米消費者物価指数(CPI)の発表も控え、「徐々に様子見となりやすい」との見方を示した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:佐野日出之.

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