(ブルームバーグ):米国のアイルランドに対する財の貿易赤字は、医薬品の大量輸入によって過去最大を記録した。製薬会社が関税導入に備えて先回りした可能性が高い。
6日発表の3月の米貿易収支によれば、財の対アイルランド貿易赤字は季節調整済みで2倍余りの293億ドル(約4兆1900億円)と、中国に対する赤字額248億ドルを上回った。また、カナダとメキシコという主要貿易相手国に対する赤字よりも大きかった。アイルランドからの全体の輸入額は前月の2倍となった。

米国の3月の医薬品製剤の輸入額は71%増加し、過去最大の504億ドルに達した。伸びは資本財やその他の消費財、自動車など他の輸入品目を大幅に上回り、米貿易赤字を過去最大に押し上げる大きな要因となった。
トランプ大統領は2月後半、輸入医薬品に関税を課す可能性が高いと表明し、非公開の会合で製薬会社に対し関税導入を警告した。4月2日に発表された広範な関税措置の対象から医薬品は除外されたが、同大統領は向こう数週間で決定を下すと述べている。
イーライリリーやファイザーなど米大手製薬会社の多くは、アイルランドの有利な税制を活用するため、同国に生産の多くを外部委託している。食品医薬品局(FDA)のデータベースによると、米企業はアイルランドで米国向け製品を輸出する工場を約20カ所運営している。

原題:US-Ireland Trade Deficit at Record on Pre-Tariff Pharma Imports(抜粋)
--取材協力:Madison Muller、Damian Garde.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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