アジア時間5日午前の取引で原油相場は下落。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が大幅な追加増産で合意し、貿易戦争の影響で需要が伸び悩む中で供給がさらに増えることになった。

指標であるブレント原油は週明けの取引で一時4.6%下落し、1バレル=58ドルに近づいた。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)も56ドル付近まで下げている。OPECプラスによる3日の決定は、合意された枠を上回る生産を続けているカザフスタンなどに対し厳しく臨むといった戦略転換の一環で、こうした動きが既に価格を押し下げていた。

 

今回決まった追加増産は日量41万1000バレルで6月から実施する。先月決定された5月の増産幅と同水準になる。サウジアラビアとロシアが主導するOPECプラスは、価格を支えるため長い間生産を抑制していたが、その結果、市場シェアを他の産油国に奪われ、戦略転換を進めている。

サウジは会合後、生産枠を超過している加盟国に対し、割り当てを守らなければ、歴史的な方針転換をさらに進め、一段の増産に踏み切る可能性があると警告した。複数の加盟国代表者が明らかにした。

ICISの石油分析担当ディレクター、アジェイ・パーマー氏は、OPECプラスの増産は「簡単には吸収できない」と指摘。「需要の伸びは弱く、特に最近の関税賦課が影響している」として、ブレント原油価格の下落は「不可避」だとの見方を示した。

シンガポール時間午前8時24分(日本時間同9時24分)時点で、ブレント原油先物7月限は3.4%安の59.23ドル。WTI原油先物6月限は3.6%安の56.18ドル。

原題:Oil Sinks as OPEC+ Supply Surge Threatens to Swamp Global Market(抜粋)

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