(ブルームバーグ):世界最大の上場投資信託(ETF)「バンガードS&P500ETF」が、過去最大の資金流入を記録した。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の集計データによると、運用資産6080億ドル(約88兆4000億円)のバンガードS&P500ETF(ティッカー:VOO)には、4月に約210億ドルの資金流入があった。これは15年前に設定されてから最も多く、単独のETFとして月間ベースで史上5番目の大きさだ。
もっとも4月には、VOOが追跡するS&P500種株価指数が近年まれに見る不安定な値動きを示した。トランプ米大統領の関税発表に市場が振り回され、相場低迷が続いた後にリリーフラリー(安心感による相場上昇)が訪れる展開だった。
市場の変動性が激しい中でもVOOには今年これまでに550億ドルが流入。最近、運用資産規模でETF「SPDR・S&P500ETFトラスト」(SPY)を抜き、最大のETFになった。
VOOの運用手数料は年0.03%と極めて低く、個人投資家を中心に人気を集めている。VOOというティッカー名は、自分で運用する投資家の資金フローをアナリストが語る際に代名詞のように使われている。
SPYも同じようにS&P500種連動型だが手数料は年0.095%。ステート・ストリートが運用するSPYでは、4月に22億ドル流入したが、年初来では270億ドルの純流出。年末時点でこの状態なら、年間として2015年以来最悪の実績となる。

BIのアタナシオス・プサロファギス氏は「このように市場の値動きが激しい中でVOOに記録的な資金が流入していることは、個人投資家による買いの強さを如実に示している」とした上で、「1カ月だけでバンガードは、多くのETF発行会社の運用資産規模に匹敵する資金を取り込んだ。どんな相場でもバンガードがいかに強靱(きょうじん)かを示しており、相場が荒れている時に他社より伸びる傾向もこれで分かる」と分析した。
原題:Vanguard’s VOO, World’s Biggest ETF, Nabs Record Flows in April(抜粋)
--取材協力:Isabelle Lee.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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