中国ネット通販企業PDDホールディングス傘下のオンライン通販アプリ「Temu(テム)」が、一部商品の価格を2倍以上に引き上げた。トランプ米大統領による関税のほぼ全てを米国の消費者に転嫁しているとみられ、インフレへの影響懸念に拍車がかかりそうだ。

価値が一定以下の場合に関税や税金が免除される、いわゆる「デミニミス(非課税基準額)」ルールに基づき、これまでは課税対象外だった800ドル以下の小包にも、5月2日からは120%の関税、または郵便物1個あたり少なくとも100ドルの手数料が課されることになる。テムは、商品代金に加えてこうしたコストを支払うよう、顧客に求めている。

テムのベストセラーリストに掲載されている、中国から発送された14商品は、税金が商品の価値を上回っていた。例えば、19.49ドルの電源タップは、28日時点で商品価格の1.41倍にあたる27.56ドルの輸入コストがかかっている。ただし、米国の倉庫から発送可能な商品には、輸入時の諸費用がかからないため、価格はほぼ変わらない。

ブルームバーグがまとめたデータによると、テムのベストセラーリストにある80商品のうち、66商品は中国内の小売業者が発送している。 テムとファッション通販大手SHEIN(シーイン)は以前、デミニミスの免除対象外となる5月2日の1週間前から、価格の調整を始めるとしていた。

トランプ関税によるコストの大幅増は、米国人の購買行動を変え、テムやSHEINのような企業からの出荷を混乱させる恐れがある。テムはコメントの求めに今のところ返答していない。

SHEINも米国向け製品の価格を引き上げ、一部商品では値上げ幅が300%以上となった。

原題:US Shoppers Pay for Trump Tariffs on Temu, Doubling Some Prices(抜粋)

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