豊田自動織機の株価は28日、ストップ高水準となる制限値幅の上限となる前営業日比3000円(23%)高の1万6225円で比例配分された。

豊田織株を巡ってはトヨタ自動車の創業家などが同社の非公開化を前提とした買収提案を行った、との25日の報道を受けて買い注文が殺到していた。連想買いを誘った面もあり、愛知製鋼の同16%高を筆頭に豊田織以外のトヨタグループの多くの部品メーカーの株価も上昇。アイシンが3.5%高、デンソーは1.5%高だった。トヨタの株価終値は同3.6%高の2786.5円だった。

ブルームバーグは25日夜、豊田織が提案を受けて特別委員会を組成した、と複数の関係者を引用して報じた。豊田織と特別委は実務を担う財務アドバイザーをそれぞれ選定し、提案の精査や是非の検討を進めている。関係者の1人によると、買収総額は6兆円規模と巨額案件になる可能性がある。買収資金はトヨタ会長を務める豊田章男氏やトヨタなどによる出資に加え、三菱UFJ銀行など3メガバンクからの融資も活用する案も浮上している。

豊田織は26日付の声明で、「資本効率の向上や特別目的会社を通じた非公開化などのさまざまな提案を受けている」と明らかにした上で、あらゆる可能性を検討しているが現時点で決定したことはないと述べた。トヨタは豊田織の非公開化について「当社が一部出資することも含め、現在さまざまな可能性を検討」しているとの声明を出した。

資本効率やガバナンス(企業統治)の観点から株式の持ち合いに厳しい視点が注がれる中、トヨタグループも2023年に見直しに向けて動き出した。SMBC日興証券の牧一統シニアアナリストは仮に報道が事実であれば、「トヨタグループ最大の企業再編が進むことになる」と指摘する。

シティグループ証券の吉田有史アナリストは英文リポートで、「6兆円という数字自体は1株当たり2万円に相当するが、保有株式の価値と事業価値を考慮するとわれわれの見解では現実的な数字だ」と述べた。

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