中国政府は米国に対する125%の報復関税を巡り、米国からの一部輸入品を対象から除外することを検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。貿易戦争による経済的コストが一部の産業に重くのしかかっている。

非公開の協議だとして匿名を条件に話した関係者によると、中国当局は医療機器のほか、エタンなど一部の産業用化学品を追加関税から外すことを検討している。

また、航空機リースに対する関税の適用除外も議論されていると、関係者は述べた。多くの航空会社と同様、中国の航空会社も全ての航空機を自前で保有しているわけではなく、一部はサードパーティー企業とのリース契約で使用している。追加関税が課されたままだと、こうしたリース料が財務的に極めて重い負担となる恐れがある。

メイバンク・セキュリティーズで、機関投資家向け株式セールストレーディング責任者を務めるコクフン・ウォン氏は、「貿易戦争の緊張緩和に向けた新たな一歩だ」と指摘。米中が早期に相違を棚上げするとの見方は多くないものの、「最悪の局面はまさに過ぎた可能性があるように見受けられる」と述べた。

米国は今月、145%の対中関税から電子機器を除いており、中国が検討している今回の適用除外はこれに似た動きとなる。こうした関税措置の緩和は米中がどれほど深く相互に依存しているかを浮き彫りにしている。

対米依存度高い分野

在中国米国商工会議所のマイケル・ハート代表は北京で25日開いた記者会見で、「会員企業の一部からは、ここ1週間だけでも関税が課されなかった輸入品が幾つかあったという報告を受けている」と説明。「両政府は状況を注意深く見守っており、貿易全体を止めたいとは考えていないように見える」とコメントした。

米国は中国からの輸入額が圧倒的に多いものの、中国による今回の動きは自国経済で対米依存度が高い分野が残っていることを示している。例えば、中国は世界最大のプラスチック生産国だが、一部の工場はエタンに頼っており、主に米国から輸入されている。また、中国国内の病院では、GEヘルスケア・テクノロジーズなど米企業が製造するMRIや超音波装置などの先端医療機器が広く使われている。

中国財政省と税関総署にコメントを求めたが、返答がなかった。

適用除外リスト

適用除外のリストはなお調整中で、協議が進展しない可能性もある。事情に詳しい別の関係者によれば、影響を受けやすいセクターの企業は追加関税の免除を希望する米製品の税関コードを提出するよう当局から求められたという。また、少なくとも1社の中国の航空会社は、自由貿易区内の航空機リース会社への支払いについては追加関税の対象外になるとの通知を受けたと、関係者1人が語った。

中国の貿易業者の間では、報復関税の対象から除外されるという税関コードのリストが出回っているが、ブルームバーグ・ニュースはこのリストの真偽を独自に確認できなかった。

さらに、中国メディアの財経は25日、当局が少なくとも8つの半導体関連製品を追加関税の対象外とする準備を進めていると報じた。こうしたカテゴリーにはメモリーチップは当面含まれていないとも伝えており、米マイクロン・テクノロジーにとっては打撃となる可能性がある。

投資家は米中が関税引き下げに向けて歩み寄る兆しを探っているが、なおこう着状態にあるようだ。中国は24日、米国に対して貿易交渉に同意する前に一方的に賦課している関税の全面的な撤回を公然と要求した。

原題:China May Exempt Some US Goods From Tariffs as Costs Rise (2)(抜粋)

(市場関係者のコメントなどを追加し更新します)

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