(ブルームバーグ):自民党の「米国の関税措置に関する総合対策本部」は21日、政府に対する緊急提言案をまとめた。企業の資金繰り支援の強化など5本柱を示し、万全の国内対策を講じるよう訴えた。ブルームバーグが同党関係者から提言案を入手した。
提言案では、米関税措置は「自由で公正な経済秩序の在り方を根本から変容させかねないもの」と指摘。日本を除外するよう求めてきたにもかかわらず発動されたことは「極めて遺憾」と強調した。外交的な働き掛けの強化に加え、国内経済への影響を軽減させる支援策の充実を盛り込んだ。
5本柱は、資金繰り支援の強化のほか、雇用維持と人材育成、国内消費喚起策、産業構造の転換と競争力強化、協議の状況に応じた追加的な対応と、広範囲にわたって包括的な考え方を示した。米国に関税措置の見直しを求めるとともに、「あらゆる事態に対応し得る国内対策を先手先手で講じていくことが不可欠」とも明記した。
共同通信によると、石破茂政権は新たな経済対策を念頭に置いた2025年度補正予算案の今国会提出を見送ったという。ただ、予備費などを活用した対策は可能で、提言案が示した分野を対象に検討が進められる可能性がある。同案は今後とも、米国との協議状況や国民生活への影響を注視し、「ちゅうちょなく追加的に必要な対応」を行うことも求めた。
閣僚級の対米交渉は先週から始まり、赤沢亮正経済再生相が訪米してトランプ大統領をはじめ、交渉相手であるベッセント財務長官やグリア通商代表部(USTR)代表らとも会談した。米側は日本との協議を最優先と位置付けており、両国は月内に閣僚級会合を再度取り持つ方向で調整を進める。
政府が全閣僚出席の総合対策本部を設置して対応に当たる一方、自民党でも4月以降に会議体を立ち上げ、自動車業界などから米関税による影響について聞き取り調査などを実施してきた。21日午後に党本部で開いた会合では提言案について議論し、小野寺五典政務調査会長に一任することを決めた。会合には赤沢再生相も出席し、先週の訪米に関する報告が行われた。
同党の松本洋平政調副会長は会合後、「自動車産業への影響が大きいため、しっかりした対策を事前に講じてほしいとの声があった」と明らかにした。提言案については出席議員からの意見を踏まえて一部修正の上、なるべく早く政府に提出する意向も示した。
(松本洋平政調副会長の発言などを加えて更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.