欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、欧州連合(EU)の財務相らに対し、米国との通商交渉は欧州委員会に主導権を握らせるよう伝えたことが、事情に詳しい関係者の情報で明らかになった。

ラガルド氏は11日、ワルシャワで開催されたユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で、この分野ではEUの行政執行機関である欧州委に独占的な権限があるとして、各国の担当閣僚らはこの件に関して過度に発言することを控える必要があるとの考えを示した。非公開協議について話しているとして、同関係者が匿名を条件に話した。

ラガルド総裁

トランプ米大統領による関税政策への対応で、EU諸国は一枚岩とは言いがたい。各国の財相らはユーログループ会合へ向かう際に交渉が最優先と強調する一方、必要であれば報復措置も辞さないと述べていた。

トランプ大統領の関税戦争への適切な対応について、域内の一部閣僚は欧州委と真っ向から対立し始めていた。

ドイツのクキス財相は、米テクノロジー企業を標的にすることにはマイナス面があるかもしれないと示唆し、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングなど欧州に独自の代替策がないようなサービスに対しては慎重になる必要があると述べた。

一方、フォンデアライエン欧州委員長は協議が失敗に終われば、米国のデジタルサービスへの関税は選択肢となり得るとの考えを示している。

政府高官によると、欧州は表立っては団結をアピールしているが、非公式な場では競い合うようにあらゆる案が浮上している。

ECBの報道官はコメントを避けた。

原題:Lagarde Tells Finance Chiefs to Let EU Take Lead on Trade Talks

(抜粋)

--取材協力:Kamil Kowalcze、Agnieszka Barteczko.

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