世界の株式市場から資金を避難させる動きが7日に加速し、投資家は安全資産に殺到している。トランプ政権が関税強化の姿勢を崩さない中、中国が報復措置を表明し、貿易戦争への懸念が強まった。

欧米の株価指数先物は7日に3.6%を超える下げ。オーストラリアやインドなどで株価が大幅下落し、アジア株の指標は一時7.9%安と、日中ベースでは16年余りで最大の下落。原油も安い。

リスク回避で安全資産を買う動きが広がり、円やスイス・フランなどが上昇。米2年国債利回りは一時22ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。

アジアのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の指標は、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)以来、最も大幅に上昇した。

中国政府が週末に米国からの全輸入品に34%の関税を賦課すると発表したのを受け、連休明けの香港株式市場で指標のハンセン指数は一時16年余りで最大の下げを記録した。香港上場の中国テクノロジー企業で構成されるハンセンテック指数は、一時14%下落した。台湾株の指数は過去最大の下げ。

米国に有利な形で世界貿易を再構築しようとするトランプ大統領の試みを巡り市場全般に懸念が高まっている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、関税が米経済に景気減速やインフレ高進などの大きな影響を与える可能性が高いと述べ、金融当局として対応を急がない姿勢を示した。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン氏は、「関税による市場への影響は今週も続くだろう」と予想。トランプ政権当局者が相場急落に対処するめに政策を変更するつもりはないと示唆しており「こうしたメッセージを踏まえると、株式市場は売り浴びせが続き、米国債相場は上昇が続く公算が大きい」と述べた。

 

売り圧力が強まり市場の取引は混乱しており、日本では大幅下落に対応しサーキットブレーカーが発動される場面があった。韓国でもプログラム取引の売り注文が一時停止された。

トランプ氏と政権の経済閣僚は、各国に対する米国の関税発表が引き起こした金融市場の混乱について一切釈明せず、景気の好転は間近だと強気の姿勢を崩さなかった。トランプ氏は6日に大統領専用機で記者団に、「アドバンテージは全てわれわれにあり、マーケットのことは少し忘れてほしい」と述べた。

原題:Stock Rout Worsens, Bonds Rally on Tariff Turmoil: Markets Wrap、US Stock Futures Tumble With Trump Team Digging In on Tariffs、Treasury Futures Jump Amid Risk Aversion; Australian Bonds Gain(抜粋)

(アジア株の動きなどを追加して更新します)

--取材協力:Elena Popina.

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