パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、新たな関税による経済的影響は想定よりもかなり大きくなる可能性が高いとし、米金融当局としてはそれがインフレの問題悪化につながらないようにする必要があると強調した。

パウエルFRB議長(3月19日の記者会見)

パウエル氏は4日の講演で、「不確実性は依然として高い状態だが、関税引き上げは想定よりもかなり大幅になることが明らかになりつつある」と発言。「同じことが経済への影響についても言えるだろう。それにはインフレ率上昇や成長減速が含まれる」と述べた。発言は講演原稿に基づく。

トランプ米大統領は今週、世界各国からの輸入品に対する新たな関税を発表。これに対し、各国政府は既に報復措置を講じ始めている。

パウエル氏の発言は3月19日の記者会見の時よりも慎重なトーンだ。同会見では関税によるインフレの影響は一過性になる見通しだと話していた。

「関税はインフレを少なくとも一時的に押し上げる可能性が高いが、その影響はより持続的なものになる可能性もある」と同氏はこの日語った。

その上で、インフレが当局の手に負えなくなりつつあるという見方が広がらないよう、FRBは注力すると強調した。

「われわれの責務は長期のインフレ期待をしっかりと安定させること、および価格水準の一時的な上昇が持続的なインフレの問題に発展しないようにすることだ」とパウエル氏は説明。「政策スタンスの調整を検討する前に、状況がより明確になるまでわれわれは様子見できる好位置にある」と続けた。

狭まる道筋

米金融当局者にとって、経済を完全雇用と低インフレの状態に戻す道筋は狭まっている。トランプ氏が2日に発表した関税措置は、物価安定と最大限の雇用を維持するという当局の2大責務の両方に向かい風となる。

次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合は5月6-7日に開催される。

パウエル氏の講演に先立ち、トランプ氏はパウエル議長に金利引き下げを求めた。「パウエルFRB議長が金利を引き下げるには今が絶好のタイミングだ。議長はいつも『遅れて』いるが、今ならそのイメージを覆し、素早く行動できる」と投稿した。

原題:Powell Signals Fed Still on Hold, Wary of Persistent Price Shock(抜粋)

(第6段落以降を追加し、更新します)

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