(ブルームバーグ):トランプ米大統領による2日の相互関税発表前、スイスは負担が軽く済むと予想していたかもしれない。同国は規制が比較的緩いほか、欧州連合(EU)に懐疑的な見方を示しているためだ。
しかし、ふたを開けてみるとスイスにはEUや英国よりも高い関税が課されることになり、主要産業に懸念が広がっている。
スイスの関税率は32%と、EUの20%を大きく上回る。また、同じくEU非加盟国である英国の10%の3倍余りとなる。
スイス政府は今回の措置について「理解しがたい」とコメント。企業は対応策や事業防衛を急がざるを得ない。
工作機械部品メーカーのレゴフィックスでは、パスカル・フォアー最高経営責任者(CEO)が米子会社の社員と夜中に電話会議を開いた。スイスで商品を製造しており、同CEOは顧客との難しい値上げ交渉の準備を進めている。
フォアー氏は「関税そのものより米経済の減速を懸念している。米国の業界が投資を止めれば、その影響は当社の売上高にも表れ始めるだろう」と述べた。

今のところ医薬品は相互関税から外れるが、精密機器やチョコレート、高級品などさまざまな製品が関税対象となる。
相互関税によって米国の腕時計需要は大幅に減少し、各ブランドが価格の見直しを迫られる可能性があると、オッドBHFのストラテジストらは指摘。そうなれば、ロレックスやパテック・フィリップ、スウォッチ・グループなどが影響が受ける見込みだという。
スイス政府は、経済成長が先月見込んだばかりの水準を下回る可能性を指摘。ケラーズッター財務相は記者団に対し、現時点では報復措置を計画していないと述べた。
スイス株の指標、SMI指数は3日に2.5%安。電子機器メーカーのロジテック・インターナショナルがストックス欧州600指数の構成銘柄で最大の下げとなった。同社は売上高全体に占める米国の割合が大きい一方で、中国やベトナム、タイ、メキシコなどから製品を調達している。
原題:Switzerland Hit Harder as Rolex, Swatch Face Outsize Tariffs (2)(抜粋)
--取材協力:Naomi Kresge、Zoe Schneeweiss、Hugo Miller、Jeff Black、Noele Illien.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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