(ブルームバーグ):長期国債先物が週間ベースで38年ぶりの大幅上昇を記録した。米国の関税引き上げで世界経済の成長に対する懸念が高まり、日本銀行の利上げ観測が弱まったことが背景にある。
国債先物は今週4円近く急騰、週間の上昇幅としては1987年以来の大きさとなった。トランプ米大統領の相互関税で日本が他の多くの国よりも高い関税を課される見通しとなり、10年国債利回りは4日に20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)急低下した。
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、債券市場は早ければ5月1日の利上げとターミナルレート(利上げの最終到達点)の引き上げに備えてきたが、「今週、一気に揺り戻された格好だ」と話す。先物の急騰はリスク回避の動き以上に、日銀政策に対する見方が変わった影響が大きいのではないかとみている。

オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場は1週間前まで年内25bpの追加利上げを織り込んでいたが、今は剝落。日銀は3月の金融政策決定会合の声明文で、各国の通商政策の動向と影響をリスク要因に追加。植田和男総裁は4日、米関税政策を踏まえ、外部環境の変化に合わせ金融政策運営を適切に行っていく考えを示した。石破茂首相は米関税は「国難とも称すべき事態」と述べた。
三菱UFJアセットマネジメント債券運用第二部の小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、債券市場ではこれまで大きな金利上昇が続き、売り方向に傾いていたのが「がらりと変えられた」と指摘。「ショート筋は強烈なカウンターを食らった格好」だと話した。
(日中の立会時間終了時の動きを反映しました)
--取材協力:山中英典.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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