(ブルームバーグ):来週の円相場は一段と上昇しそうだ。トランプ米大統領が発表した相互関税が9日までに発動される予定で、中国や欧州連合(EU)との貿易戦争が世界経済に与える影響が懸念され、リスク回避の円買いが継続する見通し。半面、日本銀行の利上げ姿勢の後退が円売り材料になる可能性もある。
市場関係者の見方
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト
- 発動前の各国の交渉に期待は残るが、トランプ大統領の市場動向を問題視していない発言を見る限り、関税は予定通り発動されそうだ
- 中国やEUの報復関税や対抗措置が予想され、一段の株安が警戒されてドル・円も調整色が強い状況が続く。144円程度まで円高が進む可能性がある
- 日銀は5月の利上げの可能性が相当低下したが、国内経済指標はオントラック(想定通り)で、利上げ姿勢がすぐに変化することは考えづらい
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジスト
- トランプ関税は各国の金融政策や企業活動、投資行動に影響を及ぼす上、報復措置も予想され、市場はしばらくボラティリティーの高い状況が続く
- 今のような状況で日銀が利上げすれば市場がクラッシュするので、次の利上げ時期は遠のいており、円高方向の動きが少し収まってくる可能性もある
- 関税ショックの余韻が残り、142円程度までの円高は見ておく必要。円の下値は147-148円程度か
来週の主な予定
- 7日:日銀支店長会議と地域経済報告(さくらリポート)、2月の毎月勤労統計
- 9日:日銀の植田総裁が信託大会であいさつ
- 9日:米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月18、19日開催分)
- 10日:3月の国内企業物価指数
- 10日:3月の米消費者物価指数(CPI)
- 11日:3月の米生産者物価指数(PPI)、4月の米ミシガン大学消費者マインド指数
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