(ブルームバーグ):長年にわたり日本国債をアンダーウエートとしてきたパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のファンドがスタンスを変えている。日本の国債利回りは数年ぶり高水準に向かって上昇し続けている。
ピムコのサチン・グプタ氏によると、同社は日本国債について「全体的に中立」の姿勢に転じた。27年の投資経験を持つグプタ氏は430億ドル(約6兆3900億円)余りの資産の運用責任者を務める。
グプタ氏は現在、日本の30年国債に価値を見いだしている。米国やオーストラリアなど各国中央銀行が金融緩和を進める中で、日本銀行は利上げを続けるとの市場の観測を受け、30年債利回りは2006年以来の水準を付けている。
「金利は上昇しているが、基本的にはわれわれの以前から予想通りの上昇だ。このため、利益を確定して再評価することが理にかなっている」とグプタ氏は話した。
借り入れコストが世界金融危機以来の高水準に達する中で、RBCブルーベイ・アセット・マネジメントや全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)などは、日本の国債市場の再評価を行っている。
日本のインフレ率上昇に伴い、債券相場は下落。最も弱気な投資家でさえも今が買い時なのかどうか思案している。
金利の先行きについて新たなヒントを得るため、投資家は19日に発表される日銀金融政策決定会合の結果に注目している。スワップ市場では今週の会合で政策金利の据え置きが決まると予想されているが、年内に少なくとももう一回の0.25ポイント利上げがあると見込んでいる。
この2年余り日本国債をアンダーウエートとしてきたグプタ氏は、日本のインフレ率が2%近くで落ち着く可能性があると指摘。
「売りはイールドカーブ上の長めのところで始まり、そこで高くなったため、相対的には、長めのところに幾らか割り当てるのは理にかなっている」とシンガポールでの13日のインタビューで語った。
欧州はアンダーウエート
グプタ氏は、英国債とオーストラリア国債にも妙味があるとみており、成長が鈍化するにつれ値上がりすると見込む。
シクリカルな観点からすると、「これらの国の金利は、市場が織り込んでいる水準よりも低くなるはずだ」と述べた。
一方、グプタ氏がアンダーウエートとしている主要市場は欧州だ。ドイツ政府が防衛費とインフラ支出を増やすため劇的な政策転換を行ったことが背景にある。
「この発表だけではなく、これは将来の財政措置の可能性についても言えることだ」とし、欧州金利のデュレーションについて、より戦術的なアンダーウエートとしていると説明した。
原題:Pimco Takes Profit on Japan Bond Trade as Interest Rates Rise(抜粋)
(グプタ氏のコメントをさらに追加して更新します)
--取材協力:Masaki Kondo.記事についてのエディターへの問い合わせ先:Cormac Mullen cmullen9@bloomberg.netBrett Miller、Ken McCallum
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