トヨタ自動車とマツダは12日、2025年の春季労使交渉(春闘)で労働組合の賃金と賞与に関する要求に対し、満額回答した。一方、ホンダと日産自動車は賃金について組合要求を下回る水準で回答し、明暗が分かれた。

トヨタの東崇徳総務・人事本部長は同日の会見で、会社が支払う総額は組合の要求通りの満額回答だとし、具体的な配分については今後決定する方針だと述べた。その上で、満額回答により物価上昇に直面している組合員などの不安を解消したいと説明した。

物価高の影響で実質賃金が3年連続マイナスとなる中、連合は賃上げの流れを定着させるため今年の賃上げ目標は昨年と同水準の5%以上、中小企業の労組は格差是正分を加えて6%以上としている。自動車産業は製造・販売・整備、サービスなどで国内で約550万人が働くなど裾野が広く、完成車メーカーが積極的な賃上げをすることによる中小企業への波及効果が期待されている。

トヨタ自動車労働組合によると、今回の春闘では組合側は職種や階級ごとに月9950-2万4450円の賃上げ、年間一時金は基準内賃金の7.6カ月分を要求していた。マツダは組合が求めた賃金で人への投資として組合員一人平均月1万8000円相当の原資を確保し、賞与で年間5.4カ月分についていずれも満額回答した。

ホンダは賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を含め1万9500円の要求に対し、会社側は1万5000円と回答した。日産は「平均賃金改定原資」として組合が要求していた1万8000円を下回る1万6500円と回答。両社とも賞与については満額回答した。

自動車総連によると、平均回答額は1万8610円で、1975年以降で最高の水準。

「高い水準」

自動車や電機メーカーなど五つの産別労組で構成する全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)が同日発表した回答集計(速報値)によれば、賃上げ額は平均1万4566円だった。

金属労協の金子晃浩議長は、回答額は昨年の最終結果(1万4638円)を下回ったものの、多少の変動幅はあり、比較可能な2014年以降と比べると高い水準だと評価。足元の業績や国際情勢の変化に伴い先行き不透明感が増す中、「生活実感としての苦しさに対して経営側も十分理解をしてくれた」と語った。

今春闘では労使が協調し、賃金上昇を通じて持続的に生活が向上する「新たなステージの定着」の実現に取り組む姿勢を示している。大手企業から高水準の回答が相次ぐ中、格差是正に向けて中小企業への波及が引き続き焦点となる。

(金属労協の回答結果を追加して更新します)

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