中国は地方政府のバランスシート改善を図るべきだと清華大学経済学教授の李稲葵氏が提唱している。消費者支出を支え景気を刺激するために必要な財政的余裕を地方政府に与える必要があるとしている。

中国政府の政策顧問を務める李氏はインタビューで、中央政府は少なくとも20兆元(約410兆円)相当の地方債務を引き受けるべきだと指摘。昨年後半に政策当局が打ち出した地方債務の救済策は十分ではないと語った。

本土の不動産・インフラブーム時と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に積み上がった負債により、多くの地方政府は契約事業者への支払いを遅らせたり、公務員給与の支給を保留したりするなどの措置を講じており、その影響が経済に広く波及している。

 

李氏は地方政府が契約先や職員に対して延滞している負債の総額は10兆元に上ると推定している。これは中国が昨年記録した国内総生産(GDP)の7%に相当する。

この問題を解決するため、李氏は中央政府が国債を増発し、集めた資金で地方政府の負債を買い取るべきだと提案。 その代わり、省や市の当局は資産を中央政府に移管することが可能だという。

20兆-50兆元規模のこうしたスワップを行えば、全国的な債務負担軽減に効果的で、地方政府が消費者により良い支援を提供できるようになると李氏は主張。また、トランプ米大統領による対中輸出抑制策に対抗する上でも有効だと論じた。

 

「トランプ氏の貿易保護主義による圧力であろうと、中国自らの経済問題によるものであろうと、低迷している消費を改善させることが解決策だ」と述べ、「重要なのは地方政府の緊縮的な行動を減らすことだ」と訴えた。

中国の公的債務は対GDP比で見ると他の主要経済国と比較して依然として低水準であるため、多くのエコノミストは中央政府による借り入れ拡大を呼びかけている。

しかし、中央政府はこれまで地方救済に抵抗してきた。将来的にモラルハザード(倫理観の欠如)のリスクにつながり、無責任な借り入れを助長するのではないかとの懸念が背景にある。

原題:China Needs $3 Trillion Local Debt Solution, Top Economist Says(抜粋)

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