日本の株式市場では、投資家がトランプ関税の脅威を受けにくい企業に目を向け始めたことで小型株の優位性が強まりつつある。

1月20日のトランプ米大統領の就任以来、小型株で構成されるTOPIXスモール指数が1.3%上昇する一方、時価総額と流動性の上位30銘柄の値動きを示すTOPIXコア30は1.1%下落した。小型株は過去6年のうち5年で大型株をアンダーパフォームしてきたが、足元で形勢は逆転している。

トランプ氏は自動車や鉄鋼、医薬品、半導体への追加関税を公約している。実際に発動されれば、日本の大手輸出企業が打撃を大きく受ける一方、売り上げの大半を国内で得ている中小企業への影響は限られる公算が大きい。ゴールドマン・サックス証券のデータによると、スモール指数の採用企業では国内売上高が全体の79%を占めている。

香港のレイリアント・グローバル・アドバイザーズのポートフォリオ・マネジメント部長、フィリップ・ウール氏は「ここ数年で日本株相場は上昇してきたが、小型株は大型株ほど買われておらず、割安な成長株を求めるのに今は特に良い時期だ」と話す。「小型株は国内経済が回復すればするほどより大きな恩恵を受ける業種が多いため、現在はさらに有利な立場にある」との見方を示した。

小型株には相対的に割安感がある。12カ月先の予想株価収益率(PER)はスモール指数が約12.5倍、コア30は約15.5倍だ。

金利上昇が悪影響を及ぼす可能性は小型株にとってリスクだ。1月の全国消費者物価指数は前年比3.2%上昇し、日本銀行が安定目標とする2%を34カ月連続で上回った。昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)は速報値で3四半期連続のプラス成長となった。日銀がさらなる利上げに踏み切る可能性を示唆し、大企業に比べ財務基盤が弱い小型企業には負担になりかねない。

スパークス・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャーの奥村剛成氏は、米国の関税についても政治的な要素が強く、予測が難しいと言う。とはいえ、「日本経済は30年にわたるデフレからインフレへの構造転換期にあり、魅力的なバリュエーションを考慮すると小型株は投資妙味が高い」と語った。

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