ゴールドマン・サックス・グループは、規制当局に提出する主要な書類から、多様性に関する目標を削除した。多様性・公平性・包摂性(DEI)を標的にした米国のトランプ大統領の方針を受け、米金融業界では、多様な従業員構成を目指す具体的な目標を廃止する動きが相次いでいる。

ゴールドマンのデビッド・ソロモン最高経営責任者は27日、電子メールでの声明で「米国の法改正を反映させるため、一定の調整を行った。能力と多様性は決して相反するものではないと強く信じている。多様で優れた人材の獲得と維持の重要性を今後も重視していく」と述べた。

ゴールドマン・サックス・グループのデビッド・ソロモン最高経営責任者

ゴールドマンは2020年、副社長職に占める女性比率を世界全体で40%、北米・南米地域と英国での黒人専門職の割合を7%、北米・南米地域のヒスパニック系専門職の割合を9%に引き上げるとの具体的な目標を、それぞれ2025年を期限として設定した。だが、27日に提出された同社の年次業績報告書には記載がなかった。

今回の方針撤回に先立ち、ゴールドマンは業界他社に続き、新規株式公開(IPO)業務を引き受ける企業に対し求めてきた、多様性に関する義務を取り消した。多くの銀行は連邦政府と契約を結んでおり、連邦契約業者による「違法な多様性推進」プログラムへの関与を禁止する大統領令の対象だ。この大統領令は現在、法廷で争われている。

先週、シティグループは22年に掲げた多様性目標を撤回した。また、採用にあたり候補者、面接官双方を多様化するとした要件を削除した。バンク・オブ・アメリカとウェルズ・ファーゴも今週、同様の取り組みを撤回した。

ゴールドマン上層部の多様性は、競合他社と比較すると依然として遅れをとっている。政府のデータによると、米国の主要6銀行の中で、ゴールドマンは役員・管理職に占める白人男性の割合が最も高く、1月の人事異動により、経営委員会の女性比率も減少した。

原題:Goldman Sachs Removes Diversity Goals After Trump DEI Order (1)(抜粋)

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