(ブルームバーグ):韓国の出生率が9年ぶりに上昇した。世界の中でも高齢化が顕著な同国で育児支援を強化してきた政府当局者にとって、まれに見る明るいニュースとなる。
統計局の26日の発表によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数を表す出生率が2024年で0.75と、23年の0.72から上昇。依然として世界最低水準にとどまっているものの、前年比で上昇に転じるのは15年以降で初となる。15年の出生率は1.24だった。

韓国政府は長年にわたり、結婚と出産を促すキャンペーンに巨額の資金を費やしてきた。これには新生児を持つ家庭への住宅ローン金利の引き下げや経済的支援の強化などが含まれる。
婚姻件数は23年に10年余りぶりに増加。同国で出生数が増加した90年代初頭に生まれた世代が主導した。
もっとも結婚を望む人が減少している可能性があり、出生率の見通しは依然として不透明だ。医学部の入学定員数拡大を巡る政府と医師会との対立や国内の政治的混乱、海外の保護貿易主義的な通商政策などが重しとなっている。
韓国人が子どもを持つことに消極的な理由として、生活費の高騰や手ごろな価格の住宅の不足、育児休暇後の復職を巡る懸念、高水準の教育費などがある。
人口減少は韓国銀行(中央銀行)にとっても懸念材料だ。労働人口が減少し企業による生産拠点の海外移転が加速すれば自国通貨に圧力がかかるほか、経済成長鈍化を受けた金融・財政支援策の強化に伴い資産バブルが悪化する可能性がある。

原題:South Korea’s Fertility Rate Edges Up for First Time in Years(抜粋)
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