ウクライナでの一時的な休戦に、ロシアのプーチン大統領は消極的だ。同大統領の姿勢は、対ロ関係の雪解けに進むトランプ政権にとって最初の難関となる可能性が高い。

事情に詳しい関係者によると、プーチン氏に融和的なトランプ米大統領の姿勢にロシア政府当局者は慎重になっている。ロシアの指導部はトランプ政権の戦略を十分に理解できず、落とし穴を警戒していると、クレムリンに近い別の関係者は語った。

トルコを訪問中のラブロフ外相は24日、ウクライナや欧州を交えて和平合意を交渉する用意がロシアにはあるが、戦闘停止は「ロシアが満足できる、確かで永続的な結果」が得られる場合だけだろうと述べた。

これに対してトランプ氏は「われわれが賢明なら、ウクライナ戦争は数週間以内に終結できる」と期待感を表明。プーチン氏との会談は近く実現するだろうとあらためて述べ、「事態が落ち着いたらモスクワを訪問したい」とも語った。

24日で丸3年を迎えたウクライナ侵攻では、ロシア軍が大きな犠牲を出しながらもじりじりと前進を続けている。プーチン氏は停戦に否定的だが、米国は紛争解決に向けた最初の一歩として「一時的な休戦」を模索していると、ウィトコフ中東担当特使は23日にCBSニュースで発言。ウィトコフ氏は今月に入りモスクワで、プーチン氏と約3時間半にわたって会談したとも明らかにした。

「トランプ氏個人のカリスマを前面に押し出した攻勢は、前向きに捉えられてはいるが、興奮するような熱狂もない」と、ロシア大統領府と緊密な関係を持つ政治コンサルタント、セルゲイ・マルコフ氏は指摘。「ウクライナ危機の解決策は見えていない」と述べた。

トランプ氏が先週、ウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」とソーシャルメディアで言い放ったことは、ロシア大統領府の当局者をも驚かせた。トランプ氏の最高顧問2人は23日にロシアを侵略国として名指しすることを控え、24日に米国は国連総会で、ロシアによる「全面侵攻」を非難するウクライナ支持の決議案に反対票を投じた。決議案は採択された。

トランプ政権は欧州の当局者に対し、復活祭(復活祭、4月20日)までにウクライナ停戦を確保したい意向を伝えたと、ブルームバーグは16日に報じた。ただし、同政権が即時停戦にどれほどこだわるのか、プーチン氏が交渉を離脱する可能性があるかは不明だ。

トランプ氏がウクライナのゼレンスキー大統領をこき下ろした翌日、ベッセント米財務長官はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ロシアの交渉意思に応じて制裁を強化も緩和もする用意があると表明。トランプ氏の和平交渉の呼び掛けに応じない場合、ロシアが戦費の重要な調達源とするエネルギー収入を米国は標的にすることを暗に示した。

米ロはサウジアラビアでの協議で、米企業のビジネスチャンスや大使館機能の相互回復など和やかな言葉を交わしたが、ウクライナでの戦争終結を巡っては依然立場が異なる。

トランプ氏はウクライナでの平和維持活動や安全保障の確約提供に米国の参加を否定しているが、欧州同盟国が責任を担うことには支持の意向だ。ロシアはウクライナ領内における北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍の展開を受け入れず、ウクライナの軍事力を制限するとの主張を崩していない。

カーネギー国際平和財団ロシア・ユーラシアセンターの上級研究員、タチアナ・スタノワヤ氏は「今のところ、全面的な『ディール』が成立する可能性は低そうに見える。米国とロシアの立場が大きく隔たっているからだ」と指摘。「プーチン氏の主要目標は依然として、ウクライナを親ロ国家とすることだ。領土分割や前線の安全保障などではなく、ウクライナ全体を西側の発展の軌道から外すという保証だ」と説明した。

原題:Trump’s Putin Embrace Risks Souring as US Urges Truce in Ukraine(抜粋)

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