(ブルームバーグ):ウクライナと米国の交渉担当者は、両国間の亀裂を乗り越え、重要鉱物資源の取引を成立させようとしている。貴重な資源の権利を米側に譲り渡す合意に双方は近づきつつあり、22日にも署名が行われる可能性があると米紙ウォールストリート・ジャーナルは報じた。
交渉が非公開で行われているとして匿名を条件に語った関係者1人によれば、ウクライナ当局者はキーウ訪問中のケロッグ米特使(ウクライナ・ロシア担当)と鉱物資源の取引について協議している。トランプ米大統領は19日、ウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙を実施しない独裁者」と非難、「ぐずぐずしていると、ウクライナはなくなってしまうぞ」と警告した。
ゼレンスキー氏は、鉱物資源収入の約半分を求める米国の当初の提案を拒否していたが、20日のケロッグ氏との会談後に「希望を取り戻した」と述べていた。

関係者によると、米国は当初の提案で、ウクライナの鉱物資源関連の収入のうち半分の確保を求めていたが、これはウクライナの法律に違反する内容だった。またABCニュースは草案文書を基に、石油やガス、港湾からの収入も対象となっていたと報じた。
ウクライナ側が変更を提案したことを受けて、米国は将来の支援に関する文言を盛り込んだ改訂版を送付したと、事情に詳しい関係者は述べた。
安全保障と引き替えに米国がウクライナの鉱物資源の権益を確保する取引を成立できるかどうかは、戦争終結を目指す米政権にとって重要な鍵を握る。トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領と近く会談する可能性を示唆している。
ゼレンスキー氏は20日遅くの定例演説で「われわれは米国と実際に機能する、強力な合意が必要だ」と語り、「経済と安全保障は常に密接に関連している」と続けた。
同関係者は米国、ウクライナ両国の大統領が立ち会う中で鉱物資源取引を締結するのが理想的だと語った。ゼレンスキー氏は、米ロ首脳会談よりも先にトランプ氏に会うことを強く望んでいる。
ケロッグ氏は21日、ウクライナ高官らと「長く、激しい1日を過ごした」とソーシャルメディア、X(旧ツイッター)に投稿。ゼレンスキー氏を「苦境に立たされた勇敢な指導者」と呼んだ。
トランプ氏は攻撃継続
一方、トランプ米大統領は、ロシアとの紛争を終わらせるための交渉にウクライナのゼレンスキー大統領が参加する必要はないと述べた。
トランプ氏はFOXニュースラジオに対し、ゼレンスキー氏は2022年2月のロシア侵攻開始以来、3年間会議の場にいたが、これまで紛争の終結に失敗してきたと主張。
「正直に言って、ゼレンスキー氏の会議参加が極めて重要だとは思わない」と述べ、「ゼレンスキー氏は、なんてことだ、自分が会議に招かれていないと言ったが、それはこれまでの交渉で同氏がひどい仕事しかしておらず、優先事項ではなかったということだ」とトランプ氏は続けた。
この発言は、ウクライナが参加しようがしまいが、トランプ氏がロシアとの直接交渉を推進する意向であることを示唆する。
ウクライナ支援協議へ
フランスとエストニアは、24日に緊急の欧州国防相会合を開く。事情に詳しい関係者が明らかにした。ウクライナへの支援強化策を協議するという。
ビデオ形式の会合には英国とドイツ、イタリア、ポーランドなど10カ国以上の国防相と、欧州連合(EU)および北大西洋条約機構(NATO)の代表者が参加する予定だと、同関係者は匿名を条件に述べた。
ロシアのウクライナ侵攻からまもなく3年。欧州委員会のフォンデアライエン委員長を含む複数の欧州指導者は24日にキーウを訪問する。またEU外相も同日にブリュッセルで会合を開く。
原題:US, Ukraine Ramp Up Talks on Minerals Deal During Envoy Trip (2)(抜粋)
--取材協力:Piotr Skolimowski、Olesia Safronova、Natalia Drozdiak.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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