(ブルームバーグ):ロシアの侵攻後3年続くウクライナでの戦争終結に向け合意を急ぐトランプ米政権は、対ロシア制裁を緩和する可能性を示唆した。
ベッセント米財務長官は20日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、米国としては、ロシア政府の交渉姿勢に応じて制裁を強化ないし緩和する用意があると明らかにした。
両方向の調整の可能性を問われたベッセント氏は「それは非常にうまい表現といえよう。大統領はこの衝突を速やかに終わらせる決意だ」と語った。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領が最近、トランプ氏が戦争に関する誤った情報を伝えられていると示唆したことは「不適切だ」と指摘した。

トランプ氏は19日、ゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼び、戦争終結に向け合意条件を受け入れるよう圧力を強めた。ゼレンスキー氏は、米ロがウクライナ抜きで戦争終結を目指す協議を開始したことに異議を唱えた。
ゼレンスキー氏を「独裁者」呼ばわり、トランプ氏が舌戦で圧力
ベッセント財務長官によれば、週末に開催されたミュンヘン安全保障会議に先立ち、ゼレンスキー氏はベッセント氏に対し、ウクライナの鉱物資源の権利を巡り5000億ドル(約74兆8000億円)規模の合意締結を保証したが、その後拒否した。
この取引は、ウクライナへの武器供与に多額の資金を投じた米国への補償という意味合いに加え、トランプ氏が提案した戦争終結プランの土台になるはずだった。
ベッセント氏は「起ころうとしていた出来事の順序は、経済的結び付きを通じてウクライナを米国に近づけ、米国民を説得し、味方につけることだった。その後、必要に応じて制裁を強化するというメッセージを携え、ロシアに交渉のテーブルに着くよう促すことを想定していた」と発言。「米国がウクライナにより大きな経済的権益を持てば、安全保障の盾を提供することになる」と述べた。
安全保障巡る合意
ゼレンスキー大統領は20日、トランプ政権のケロッグ特使(ウクライナ・ロシア担当)とキーウで会談した。
ゼレンスキー氏は会談後にX(旧ツイッター)への投稿で、ウクライナは「米大統領と強力で効果的な投資・安全保障の合意」を結ぶ用意があると表明した。
戦況やウクライナの戦争捕虜を帰還させる方法、有効な安全保障の確約についてケロッグ氏と協議したとゼレンスキー氏は説明。「われわれは結果を出すため極めて迅速で建設的な方法を提案した。われわれのチームは常に作業の準備ができている」とした。
原題:US Puts Russian Sanctions on the Table in Ukraine War Talks (1)、Zelenskiy: Ukraine Is Ready for Security Agreement With Trump(抜粋)
(米財務長官の発言を追加して更新します)
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