食品価格が高騰している。2024年12月の生鮮食品の消費者物価は前年比+17.2%と、大幅に上昇した。とりわけ、生鮮野菜(同+27.3%)が伸びをけん引する形となった。

野菜の価格高騰は、天候不順による不作が主因である。農林水産省が主産地や卸売会社などを対象に実施した聞き取り調査によれば、キャベツやレタス、はくさいなどの葉物野菜を中心に、昨冬の少雨の影響で生育不良が目立ち、出荷数量が例年を下回る水準となった。生鮮食品の価格上昇は物価全体にも波及する。主要食品メーカーは、原材料価格の高まりを受けて、加工食品を値上げする構えだ。飲食店などでも、仕入れコストの増加分を販売価格に転嫁する動きを見せている。

こうした食料品価格の上昇が、消費者マインドを下押ししている。食料品など購入頻度が高い品目の価格上昇は家計の負担感が強く、消費者マインドの下押しにつながりやすい傾向にある。すでに足元で消費者マインドが弱含んでおり、消費の先行き懸念が強まる状況となった。

もっとも、生鮮食品の価格高騰は一時的にとどまる見込みだ。足元で、野菜の卸売価格は頭打ちの兆しを見せる。多くの野菜で2月の出荷数量が回復傾向にあり、生鮮食品の価格の騰勢は次第に鈍化していくと予想される。

(※情報提供、記事執筆:日本総合研究所 調査部 研究員 後藤俊平)