(ブルームバーグ):アルゼンチンのミレイ大統領は17日夜、自身がソーシャルメディアで言及した暗号資産(仮想通貨)の価格急落で投資家が損害を被った問題を巡り、初めて公に発言した。
ミレイ氏に対する信頼感がこの騒動で大きく低下したが、同氏は不正行為を否定している。
ミレイ氏は、「リブラ」と呼ばれるミームコインの提案・発行に携わった複数の関係者と会ったことを認めた。その上で、フォロワーに購入を促す意図で投稿したわけではなく、仮想通貨を使って国内企業を支援する取り組みについて関心を高めるためだったと主張した。
ミレイ氏は地元テレビ局トド・ノティシアスとのインタビューで、「私は専門家ではない」とした上で、「熱狂的なテクノロジー愛好家として、起業家のプロジェクトへの資金調達ツールとなる可能性を見いだし、情報を拡散した」と語った。

ミレイ氏は14日夜に自身のSNSアカウントで数百万人のフォロワーにリブラを紹介。これを受け、リブラの相場は数時間で4倍強に急伸し、発行残高の評価額が40億ドル(約6100億円)相当に達した。しかし、その後急落し、投機的な取引をしていた買い手に大きな損失を与えた。
アルゼンチン政府は内部調査を開始し、ミレイ政権は1年余り前の発足以来最大の危機に直面している。
ミレイ氏は、長年の経済問題への解決策を提案する人物なら誰とでも会うというオープンな姿勢を改める必要があるかもしれないと釈明した。
国民が説明を要求する中、大統領府は当初沈黙を守っていた。カプト経済相は17日、閣僚として初めて公の場でこの問題に言及し、ニッチなトピックに関する不可抗力のミスであり、ミレイ氏に悪意はなく犯罪も犯していないと訴えた。
さらに、この問題が市場に影響を与えることはないとしたほか、海外投資家から問い合わせのメールも来ていないと説明。大統領府をこの日訪れていたにもかかわらず、この問題について大統領と協議しておらず、会ってもいないと述べた。
アルゼンチン株の指標、S&Pメルバル指数は17日、前週末比5.6%安で終了。1営業日としては昨年7月以来の下落率となった。
原題:Milei Denies Wrongdoing in His First Defense of Crypto Debacle(抜粋)
--取材協力:Kevin Simauchi、Matthew Bristow.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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