(ブルームバーグ):中国のスタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)の高性能人工知能(AI)モデル公開を受けて中国銘柄が急伸する直前に、「世紀の空売り」で知られる米著名投資家のマイケル・バーリ氏が中国テクノロジー銘柄の持ち分の一部を売却していたことが分かった。
ディープシーク「ショック」はオンショアとオフショアの中国銘柄の時価総額を1カ月で1兆3000億ドル(約198兆円)押し上げた。バーリ氏は2008年の金融危機前に住宅市場の崩壊に賭けた「世紀の空売り」で有名になった。
米証券取引委員会(SEC)に14日提出された「13F」報告書によると、バーリ氏の投資会社サイオン・アセット・マネジメントは昨年10-12月(第4四半期)にJDドットコム(京東)とアリババグループの米国預託証券(ADR)持ち分をそれぞれ40%と25%減らした。それでもJDドットコムをなお30万単位保有しており、アリババと百度(バイドゥ)と共にサイオンの保有上位銘柄となっている。
両銘柄の売却は中国株・ADRの動向が不安定化する中で行われた。昨年9月下旬に中国政府が景気刺激策を打ち出すと、10月初旬にかけて中国株・ADRは急騰したが、その後の数カ月間は財政刺激策の規模に対する失望感や暗い景気見通し、不動産危機を背景に失速。アリババのADRは10-12月期に20%、JDドットコムは13%それぞれ下げた。
ただサイオンは全ての中国銘柄の持ち分を減らしたわけではない。中国の電子商取引セクターでアリババのライバルであるPDDホールディングのADRを新たに7万5000単位取得。百度の持ち分は変わっていない。
サイオンが保有する中国銘柄の時価総額は昨年12月31日時点で4090万ドル相当と、全体の53%に相当する。9月末時点では約65%だった。
昨年9月より前から中国株に強気姿勢を取っていた著名ヘッジファンド投資家は少なく、その中の2人がバーリ氏とアパルーサ・マネジメントを率いるデービッド・テッパー氏だった。テッパー氏は10-12月期に中国関連の銘柄と上場投資信託(ETF)への投資を大幅に拡大した。
原題:Burry Trimmed China Tech Bets Before DeepSeek-Driven Rally(抜粋)
--取材協力:Linus Chua.
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