アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、欧州連合(EU)のプライバシー法違反の可能性があるとして、中国の人工知能(AI)スタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)に懸念を表明する書簡を送ったと明らかにした。アイルランド市民に関連するデータの処理方法を巡る懸念があるという。

アイルランドには多くのテクノロジー企業の拠点があるため、DPCが域内のテクノロジー企業に対する主な規制当局となっている。

DPCのグラハム・ドイル副委員長は「われわれはディープシークに書簡を送り、アイルランドのデータ主体に関連して実施されたデータ処理に関する情報の提供を要請した」と述べた。

ディープシークは今月、人間の推論方法を模倣できる新たなオープンソースAIモデル「R1」を発表。米大手企業のモデルに匹敵するかそれを上回る性能を持ち、開発コストはごくわずかだとし、米企業の優位性が崩れるとの懸念から、27日にはマイクロソフトやエヌビディアなどの株価が急落。時価総額で合計約1兆ドル(約154兆円)が吹き飛んだ。

ディープシークに対する調査についてDPCが責任を負うのかは不明だが、メタ・プラットフォームズやアルファベット傘下のグーグルなど世界的大手のテクノロジープラットフォームがEUのデータ保護規則を順守しているかどうかについてチェックする責任を負っている。

イタリアのプライバシー規制当局もディープシーク関連企業2社に対し、データ保護に関する情報の一部を提供するよう求めたと発表している。

原題:DeepSeek Quizzed by Irish Watchdog Over China Data Fears (1)、DeepSeek Queried by Italy Privacy Regulator on Data Protection(抜粋)

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