27日の外国為替市場では、円がドルに対する上げ幅を拡大。安全資産を買う動きが優勢となっている。

円は一時1.5%高の153円74銭と、4カ月ぶりの大幅高。スイス・フランも対ドルで1%上昇した。

伝統的に安全な資産と見なされている円には、オプション市場を通じた新たな需要も入っている。米証券保管振替機関(DTCC)のデータによると、売買高は最近の平均の2倍に急増。1週間のヘッジコストも上昇した。

一方、株式市場ではテクノロジー株が急落。米国債も買われ、10年債利回りは一時12.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して4.50%と、年初来で最低の水準を付けた。金融政策への感応度が高い2年債利回りは10bp低下し、1カ月ぶり低水準の4.17%に達した。

ロード・アベットのポートフォリオマネジャーで為替チーム責任者のリア・トラウブ氏は「本日は為替と金利で極めて典型的なリスクオフの動きだ」との見方を示し、「ロングのポジションと米国株が過去最高かそれに近い水準であることを考えれば、一定の利益確定は驚きではない。リスクオフのセンチメントが続けば、円は一段高があり得る」と述べた。

 

市場は中国の新興企業、DeepSeek(ディープシーク)が開発した新たな人工知能(AI)モデルに動揺している。同モデルは最先端ではないチップで動作しながら費用対効果が高いと見られているため、極めて高い米テクノロジー株のバリュエーションが剥落する可能性を巡って懸念が強まり、世界的に株式が売られている。

トロント・ドミニオン銀行の英国・欧州金利戦略シニアストラテジスト、プージャ・クムラ氏は、「株式のリスク回避の動きと共に、金利と株式の相関性が戻ってきたようだ」との見方を示した。

 

欧州国債も米国債とともにリスクオフの追い風を受け、ドイツ10年債利回りは8bp低下して2.49%。イタリア、フランス、英国の各国債も上昇している。

ドイツ銀行の為替調査世界責任者、ジョージ・サラベロ氏は「心に思い浮かぶ最も明らかな類似した事例は、2000年代のドットコム・ブームの巻き戻しだ。当時は外的な衝撃をきっかけに、米テクノロジー株のバリュエーションが大きく引き下げられた」と顧客向けリポートで指摘。最終的に「株式投資の引き揚げと、米国と世界の他地域との金利差縮小を通じ、ドル安につながった」と記した。

スワップ金利が示唆する米連邦準備制度と欧州中央銀行(ECB)の年内の利下げ幅は拡大し、米国では2回の0.25ポイント利下げがあると昨年12月以降で初めて完全に織り込まれた。

原題:US Yields Fall to Lowest This Year as Tech Risk Fuels Haven Bid、Yen Hits Five-Week High as Investors Pile Into Havens (1)(抜粋)

(相場を更新し、第5段落に市場関係者のコメントを加えます)

--取材協力:Vassilis Karamanis.

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