(ブルームバーグ):フランス政府は欧州連合(EU)に対し、ESG(環境・社会・企業統治)関連のルールをはじめとする規制枠組みの大幅見直しを求めている。環境政策を撤廃し、規制緩和を進めようとする米国の新政権を念頭に、欧州の国際競争力回復を図る試みだ。
ブルームバーグが入手した文書によると、フランス政府は「規制の大幅な一時停止」で、簡素化のプロセスを始めなければならないと主張。また、現在の法律は「激化した国際競争の新たな状況や、主要な国際競争相手の非協力的な政策に適合していない」ことが明らかになったため、再検討や修正が必要だと指摘した。文書は今月20日付で、22ページにわたる。
今後5年間の主要な課題として規制の簡素化をすでに掲げているEUにとって、フランスの要求はさらなる圧力となる。EUは来週発表する競争戦略に関する報告書草案の中で、報告義務を少なくとも25%削減するとの目標を達成するため、前例のない簡素化に取り組むと約束する予定だ。
フランスの呼び掛けは、EUの「企業サステナビリティー報告指令(CSRD)」の施行時期とも重なった。CSRDは約5万社を対象に、ESGの取り組みに関連する数百のデータの報告を求める指令だ。一方の米国では、トランプ大統領がバイデン政権時代の環境政策の多くを撤廃し、規制緩和の局面に入ろうとしている。

トランプ氏は23日、オンラインで出席した世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で「欧州のビジネスパーソンの多くは、EUの規制・制度に大きな不満を表明している。彼らは欧州の成長率が低い理由を、さまざまな要因、特に規制のせいだと考えている」と述べた。
多くの企業や政治家は、欧州の競争力低下の原因を欧州の規制枠組みに求め、とりわけEUのCSRDに対して懸念を強めている。法令順守のためには、不釣り合いなほどの労力が必要とされるという。
CSRDの修正は「急務」だと、フランス政府は同文書で指摘。CSRDは温室効果ガスの排出量をネットゼロへと欧州経済を移行させるための重要な「ツール」だとしつつ、報告要件は「大幅に緩和」されるべきで、求める基準は「気候目標」に焦点を当てるべきとしている。
ドイツも自国経済が低迷する中、CSRDの調整を呼び掛けている。欧州の二大経済大国が、EUに対し規制の見直しを求めていることになる。

欧州には、政治的な状況の変化や規制枠組みによって企業が負う経済的な負担を無視できる余裕はないとフランス政府は文書で主張し、ドラギ前欧州中央銀行(ECB)総裁の昨年秋の報告を引用しつつ、EUは「潜在的な域内総生産(GDP)の10%を現時点で失っている」との見方を示した。
フランスは銀行業界に影響する規則の簡素化も呼び掛け、銀行資本規制「バーゼル3」で義務づけるトレーディング勘定の抜本的見直しの実施をさらに遅らせることなども提案した。
原題:France Calls for ‘Massive’ Regulatory Pause as Economy Flags (2)(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.