(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)交換業者バイナンス・ホールディングスの共同創業者、趙長鵬氏は、バイナンスの元ベンチャーキャピタル(VC)部門、「バイナンス・ラボ」を巨大ファミリーオフィスに転換する。仮想通貨の大きな値上がりにより、同氏の資産は刑務所から出所して数カ月で700億ドル(約10兆9000億円)に膨れ上がった。
23日の発表によると、約100億ドルの仮想通貨資産を管理しているバイナンス・ラボは、「YZiラボ」に名称を変更する。 趙氏は、2018年にバイナンス・ラボの立ち上げを手伝い2年後に退社したエラ・チャン氏を、この組織の運営を任せるため呼び戻した。YZiラボは、バイナンス共同創業者で趙氏との間に3人の子供がいるイー・ヘ氏の資産も管理する。
趙氏(47)は、グローバル本社を持たないことを維持しながら、バイナンスを世界最大規模の暗号資産交換所に育て上げた。 コンプライアンス(法令順守)に対する同氏の姿勢は米当局には受け入れられず、23年に当局はバイナンスと趙氏を、プラットフォーム上でのサイバー犯罪者やテロリストによる取引を防止できなかったとして告発した。 趙氏は5000万ドルの罰金を支払うことに同意し、バイナンスの最高経営責任者(CEO)を辞任。禁錮刑の判決も受け、4カ月の服役後9月に釈放された。
バイナンスの共同創業者の名前をもじったYZiラボは現在「純粋にファミリーオフィスの投資手段」だと趙氏はインタビューで語った。YZiラボの広報担当者によると、同社のスタッフはリモートで業務を行っているため、正式な本社はない。
趙氏がYZiラボに追加で資金を注入する必要性は当面ないとチャン氏は述べた。ブルームバーグ・ビリオネア指数で世界22位にランクインしている趙氏の資産は全て、バイナンスのの持ち分だと推定されている。
趙氏によれば、バイナンス・ラボの名称変更前の資産は100億ドルで、投資したプロジェクトが発行したトークンが中心だという。発表によると、YZiラボは暗号資産以外の分野にも事業を拡大し、人工知能(AI)やバイオテクノロジー企業への投資を行う計画。これらの分野の専門家を採用しており、9人のチームを20人まで拡大する予定だと趙氏は述べた。
原題:Crypto’s Richest Man CZ Turns VC Firm Into Giant Family Office(抜粋)
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