(ブルームバーグ):アラブ首長国連邦(UAE)の私立学校運営会社GEMSエデュケーションは、1億ドル(約157億円)を投じドバイに新キャンパスを開設する。学費が年5万6000ドルに達する可能性もある。
GEMSは湾岸地域の中心地であるドバイに超富裕層が移り住んでいるトレンドをビジネスチャンスと捉えている。
発表資料によれば、GEMSの新しい4万7600平方メートルのキャンパスは8月にオープン予定。600席の講堂や五輪が開催できる規模のプール、ヘリポートとしても使用可能なサッカー場を備える。
この「リサーチ・イノベーション校」では、学生はロボット研究所やゴーカート工学ワークショップを通じ学ぶことができ、設計したマシンを400メートルトラックでテストすることも可能だ。
GEMSのディノ・バーキー最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「ドバイとUAEが今、勢いを得ているのは疑いようがない。その結果、市場は十分に成熟」していると指摘。
当初は、英国の教育カリキュラムでいう「FS1」から6年間のみサービスを提供し、生徒の年齢は米国の保育園児や小学生と同程度となる。授業料は最年少の生徒で3万2000ドルからで、6年生になると4万1000ドルに上がる。通常、生徒が10歳から11歳になる時期だ。
最終的には7-12年生も受け入れ、その際には学費が年5万6000ドルとなる見込み。これは、米マサチューセッツ州アンドーバーのフィリップス・アカデミーのような世界的に有名な私立学校と同水準の価格設定だ。フィリップスに通学する生徒の学費は年約5万7000ドル。
バーキーCEOは「世界の一流私立校と比較しても、われわれにはまだ非常に競争力がある」と述べ、この3年間で富裕層の流入が「かなり明白かつ目に見える形で起きた」と説明。新キャンパスは富裕層をターゲットにすることになるとの見通しを示した。
ドバイの教育費はすでに世界でも最高クラス。GEMSは約60年前にインド系一族によって設立され、初等・中等教育を提供する世界最大級の私立校運営会社に成長した。
カナダの資産運用会社ブルックフィールド・アセット・マネジメントが主導するコンソーシアムは昨年、この地域で過去最大級のプライベートエクイティー(PE、未公開株)取引として、20億ドルをGEMSに出資することを決めた。
低い犯罪率や有利な税制で知られるドバイの人口は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降急増。ロシアやインド、欧米などから外国人が押し寄せている。教育に高い費用を支払うことをいとわないヘッジファンド関係者や暗号資産(仮想通貨)トレーダー、銀行家が増えている。
教育当局の報告によると、ドバイの私立学校への入学者数は今年度6%増加し、現在227校に38万7441人の生徒が在籍している。
原題:Dubai Is Getting a New $56,000-a-Year Private School From GEMS(抜粋)
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