トランプ次期米大統領の20日の就任を控え、共和党は閣僚人事の確定を急ぐ。国防長官に指名された元FOXニュースの番組司会者や、厚生長官に指名されたワクチン懐疑論者をはじめ、トランプ氏の人事はワシントンに衝撃を走らせた。

上院多数派の共和党議席数は53。民主党側が人事反対で団結すれば、共和党から4人の造反で指名承認は阻まれる。

現時点で決まっている上院での来週の指名承認公聴会の予定は次の通り。

ピート・ヘグセス氏

性的暴行疑惑

国防長官に指名されたピート・ヘグセス氏は14日、軍事委員会で証言を予定。性的暴行やアルコール依存症、退役軍人団体の不適切な管理などの疑惑が取り沙汰されている。退役軍人の同氏はこれらの疑惑について全面的に否定している。

承認の鍵を握るのは共和党のアーンスト上院議員。退役軍人で性的暴行の被害者でもあるアーンスト議員は昨年12月、ヘグセス氏と面談後の声明で「このプロセスにおいてピートを支持する」と表明した。

従軍牧師

退役軍人長官候補のダグ・コリンズ氏は14日に退役軍人委員会で証言する。

空軍予備役の牧師であるコリンズ氏は、元ジョージア州選出の下院議員。トランプ政権1期目当時、司法委員会の共和党筆頭理事として司法省によるロシア疑惑捜査を批判した。

ダグ・バーガム氏

国家エネルギー会議

事情に詳しい2人の関係者によると、ダグ・バーガム氏の内務長官指名を検討する公聴会も14日に予定されている。

前ノースダコタ州知事の同氏は新設される国家エネルギー会議の議長も務め、米国の石油・ガス生産戦略に影響を与えることになる。2024年の大統領選に出馬し敗れた後、トランプ氏を支持した。

クリスティ・ノーム氏

移民送還の実行役

国土安全保障長官に指名されたサウスダコタ州知事、クリスティ・ノーム氏の承認公聴会は15日に国土安全保障・政府活動委員会で開かれる。

ニューオーリンズやラスベガスで最近起きた事件を受け、安全保障関連の役職を迅速に任命すべきだという声が高まっている。 承認された場合、トランプ氏が公約した不法移民の大規模強制送還をノーム氏が実行に移すことになる。

パム・ボンディ氏

当初の候補は辞退

フロリダ州司法長官を務めたパム・ボンディ氏は15、16両日、司法委員会で司法長官指名承認のための公聴会に臨む。トランプ氏が当初司法長官候補としていたゲーツ元下院議員は未成年者に金銭を渡した性行為などの疑惑を巡る下院倫理委員会の調査に関して厳しい精査を受け、指名を辞退した。

ルビオ上院議員

円滑な承認

国務長官に指名されたフロリダ州選出のルビオ上院議員は15日に外交委員会で証言する。

上院で高い評価を得ているルビオ氏は、円滑な承認のための支持を集めると見込まれている。ルビオ氏の転出に伴い上院議員議席に空席が生じ、フロリダ州のデサンティス知事が後任を任命する。

石油・天然ガス

石油掘削会社リバティー・エナジーのクリス・ライト最高経営責任者(CEO)も15日、エネルギー長官の指名公聴会で証言する。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

地球温暖化の脅威は誇張されていると同氏は述べている。

ショーン・ダッフィー氏

交通とインフラ

運輸長官に指名されたショーン・ダッフィー元下院議員は15日に公聴会で証言すると、関係者が明らかにした。

エリス・ステファニク下院議員

MAGAスター

ニューヨーク州選出の下院議員、エリス・ステファニク氏の国連大使指名を審議する公聴会は16日に予定されていたが、変更の可能性がある。

ステファニク氏はトランプ氏が掲げる「MAGA(米国を再び偉大に)」のスローガンの熱烈な信奉者として共和党のスターの1人となった。

スコット・ベッセント氏

未定

厚生長官に指名されたロバート・ケネディ・ジュニア氏のほか、以下の閣僚候補の指名公聴会はまだ設定されていない。

  • スコット・ベッセント氏(財務長官)
  • ハワード・ラトニック氏(商務長官)
  • ロリ・チャベスデレマー氏(労働長官)
  • スコット・ターナー氏(住宅都市開発長官)
  • リンダ・マクマホン氏(教育長官)
  • カシュ・パテル氏(FBI長官)
  • トゥルシー・ギャバード氏(国家情報長官)

原題:Trump’s Cabinet Picks Prepare for Senate Confirmation Hearings(抜粋)

--取材協力:Hadriana Lowenkron、Lillianna Byington、Ellen M Gilmer.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.