米政府は6日、中国のテンセント・ホールディングス(騰訊)と寧徳時代新能源科技(CATL)、オーテル・ロボティクス(道通智能)を中国人民解放軍に協力していると見なす企業のリストに加えた。

テンセントはゲームバブリッシャーとして世界最大手。CATLは電気自動車(EV)バッテリーメーカーとして世界をリードしている。オーテルはドローン(無人機)メーカーだ。第2次トランプ政権の発足を間近に控え、バイデン政権がこうした企業に事実上の制裁措置を科したことは想定外の動きだ。

3社のリスト追加は、米国防総省が同日公表した連邦官報掲載の通知で分かった。国防総省のリスト自体は具体的な制裁措置を規定していないが、米企業はリストに掲載された企業との取引を控える傾向にある。

 

6日の米株式市場ではテンセントの米国預託証券(ADR)が急落。一時10%近い下げとなった。7日の香港市場でテンセントの株価は7.3%安で引けた。中国本土市場でCATL株は2.8%下落。一時は6%を超える下げとなった。

中国外務省の郭嘉昆報道官は北京で7日開いた記者会見で、米国の制裁を非難し、中国企業の権利を守ると述べるとともに、米国に対し「直ちに誤りを正し、中国企業に対する違法かつ一方的な制裁」をやめるよう強く求めた。

テンセントは発表文で、リスト掲載は「明らかに間違っている」と主張。同社広報担当は「当社は軍事企業でもそのサプライヤーでもない」とし、「制裁や輸出規制とは異なり、今回のリスト掲載がわれわれのビジネスに影響を与えることはない。それでも当社は米国防総省と協力して誤解に対処していく」とコメントした。

 

テンセントはまた、香港取引所への7日の届け出で、米政府の誤りを是正するため見直しプロセスに着手する意向だと発表。その過程において、米国防総省と協議し、誤解の解消を図るとしている。リストからの削除を求め、必要があれば法的措置を講じる方針も示した。

CATLもリスト掲載は「間違い」だと表明。 軍事関連の活動には関与しておらず、非公開で設立され、2018年に上場企業となったと資料で説明した。オーテルに営業時間外にコメントを求めたがすぐに返答はなかった。

20年にトランプ大統領(当時)は、人民解放軍が所有ないしコントロールする中国企業への米国投資を禁止する命令に署名したが、国防総省の同リストはこの命令に由来する。

国防総省は連邦官報への通知で、リストに掲載された企業は見直しを求めることが可能だとしている。

原題:US Adds Tencent and Tesla’s China Battery Maker to Blacklist (4)、Tencent to Engage in Talks With US After Being Added to List、US Adds Tencent and Tesla’s China Battery Maker to Blacklist (2)、US Adds Tencent to Chinese Military Blacklist; Shares Drop (2)、US Adds Tencent to Chinese Military Blacklist; Shares Decline(抜粋)

--取材協力:Yiqin Shen.

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