(ブルームバーグ):ウクライナを経由したロシア産天然ガスの欧州向け供給が停止した。ガス在庫の取り崩しペースが加速する中、欧州のエネルギー安全保障の懸念が強まっている。
ロシアの国営ガス会社ガスプロムは、ウクライナ側企業との5年契約がモスクワ時間1月1日午前8時(日本時間午後2時)に失効したのに伴い、供給を止めた。テレグラムへの投稿で、「ウクライナ側がこれら契約の延長を繰り返し明確に拒否したため、ガスプロムは2025年1月1日をもってウクライナ領を経由したガス供給手段を技術的および法的に奪われた」と説明した。
約3年におよぶロシアのウクライナ侵攻にもかかわらず、今回の供給停止までウクライナ経由の輸送は、数十年にわたってロシアがガスを欧州に輸出する主要ルートであり続けた。
供給停止により、一部の中欧諸国は、よりコストのかかるガスを他の場所から調達せざるを得なくなる。この地域は既にここ数年で最速のペースで冬のガス在庫を取り崩しており、供給への圧力がさらに高まることになる。
ウクライナのエネルギー省はテレグラムに掲載した声明で、キーウ時間1日午前7時より、国家安全保障の観点から自国領経由のロシア産天然ガス輸出を停止したと説明。「ロシアからの天然ガス輸送を停止した。これは歴史的な出来事だ。ロシアは市場を失い、収入を失い始めるだろう」とコメントした。
現時点では、失効した5年契約の代替となるものはない。今回失われたロシア産ガスはEUのガス需要全体の約5%に過ぎないが、ロシアのウクライナ全面侵攻がもたらしたエネルギー危機の衝撃を欧州はまだ引きずっている。
輸送契約の失効により、パイプラインなどを通じたロシア産ガスへの継続的な依存からの脱却を目指す欧州の取り組みの難しさがあらためて浮き彫りになった。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、2027年までにロシア産化石燃料への依存の段階的廃止という政治目標を掲げ、ウクライナ経由のガス輸送停止が地域のエネルギー市場に与える影響は限定的だと述べてきた。それでもハンガリーや特にスロバキアといった国は、ロシアからの燃料供給維持をますます声高に訴えている。

世界のガス市場の需給は逼迫(ひっぱく)の度合いを強めている。欧州の天然ガス先物は2024年に51%上昇。年間ベースで21年以来の大幅高となった。
原題:Russian Gas Flows Via Ukraine to Europe Stop as Deal Expires (1)、Gazprom Says Gas Flows Via Ukraine Halted(抜粋)
--取材協力:Daryna Krasnolutska、Petra Sorge、Aliaksandr Kudrytski.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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