(ブルームバーグ):ブルームバーグ・パースーツの特派員として、私は今年多くの日々を旅先で過ごした。シティーガイド「Two-Night Minimum」シリーズのための調査が大半だ。
旅行予算の大半を占めるのがホテルである場合が多いことから、ガイド執筆のためにせよ他の理由にせよ、私は都市を訪れる時かなりの時間をホテルの取材に費やしている。
どこへ行っても、できるだけ多くのホテルに宿泊し、さらに多くのホテルを見学する。各都市のトップホテルだけでなく、各ホテルの最高の客室も調査する。
1年間に500軒ものホテルを訪問するのは、夢のような仕事だ。素晴らしい瞬間がたくさんある。この1年間の出張で特に印象に残ったホテルをいくつか紹介しよう。
最高のサービス
【ローズウッドサンパウロ】
荒廃した病院を改装したローズウッドサンパウロは、世界有数の大都市の中心に広大な敷地を誇るリゾートだ。大胆な装飾が施された館内は、アマゾンの植物療法による熱狂的な夢の中に漂っているような気分にさせてくれる。そして、サービスに関して、このホテルはまさに別格だ。
高級ホテルでは、カスタマイズが合言葉になっている。ローズウッドサンパウロでは、私がブルームバーグで書いている「At Your Service」というシリーズへのオマージュとして、執事の制服を私のクローゼットに飾ってくれた。
朝食時には、大勢の給仕係がコーヒーのおかわりを注ぎ、カフェインを切望するゲストのためにテーブルを回る。 また、コンシェルジュは、ブラジルの社会保障番号がなければ入手が難しいコンサートのチケットを手際よく手配してくれる。 ここのスタッフは、決して手を抜くことをしない。
細部へのこだわり
【ブロードウィックソーホー】
新しいホテルにチェックインしてベッドに入る前に、私は壁に37個のスイッチがあるのに電球は8個しかない理由や、ベッドサイドで携帯電話を充電できない理由を考える。ベッドに横たわっていると、煙探知機の赤い光がまぶしく目に飛び込んでくることもある。
ロンドンのブロードウィックソーホーには、このような問題は一切ない。シャワーのドアを開けてもバスマットが外に飛び出すことはなく、バスルームの照明は完璧で、窓は最大限にガラス張りになっており、下のソーホーのにぎやかな通りの騒音を遮断し、石鹸は本当に質の良いものが置かれている。
壁紙は継ぎ目がなく、タイルの目地も完璧に埋められている。シャネルのバッグのように機能的でよくできた、めったにない高級ホテルだ。
もし純粋にデザインだけを評価する賞があるとすれば、ブロードウィックソーホーが受賞するだろう。ロンドンの中心にある信じられないほど狭いスペースを、「華麗なるギャツビー」や「エルヴィス」で知られるバズ・ラーマン監督の映画の世界に変えている。
最高の食事
【ジェードマウンテン】
カリブ海の島国セントルシアにあるジェードマウンテンは、幾つものカテゴリーで賞を取ってもおかしくない。最も美しい景色と最も素晴らしい建築は言うまでもなく、牧歌的なピトン山を一望できる場所にあり、自然に囲まれた象徴的なスイートルームには、湧き出るようなインフィニティプールが備えられている。
しかし、私にとって一番素晴らしいのは料理だ。食材は周辺の海で取れたばかりの魚や、ホテルのオーガニック農場で栽培されたもので、気取った雰囲気もなく、巧みに調理されている。
客室での朝食には、周辺の恵みを生かしたレインボーカラーのトロピカルフルーツや、シェード栽培のコーヒーが用意されている。
サンセットディナーは通常、屋上の天空テラスで供され、日替わりのスペシャルメニューが用意されているが、お気に入りの料理のローカル版もいつでも頼める。
例えば、地元産のかんきつ類とラングスティーヌ(アカザエビ)のパスタや、クリスピーなプランテン(バナナ)チップス付きの新鮮な魚バーガーなどだ。
締めくくりには、敷地内で収穫されたカカオを使ったぜいたくなチョコレートデザートが供される。
最高のロケーション
【ザ・スタンダードX、メルボルン】
休暇は貴重なものだ。時間の半分をホテルと目的地の往復に費やすべきではない。
新しく誕生した「ザ・スタンダードX、メルボルン」は、メルボルンで最もクールな地区、フィッツロイの中心という最高の立地を誇る。素晴らしいカフェやビンテージブティック、アーティストのマーケット、魅力的な都会のスパもすぐ近くにある。
出張で滞在する場合は、タクシーやトラムですぐにビジネス街に行くことができる。
最高のリラクゼーション
【ザ・リトリートアットブルーラグーン】
世界で最もリラックスできるホテルが、ゴボゴボと音を立てる火山の噴火口に近いという皮肉を私は気に入っている。アイスランドのグリンダビークにある「ザ・リトリートアットブルーラグーン」は、地熱の恵みを最大限に享受する極上の施設だ。
人気の観光スポットの特等席のような場所で、薄暗い子宮のような部屋が幾つもあり、宿泊客数が限られているため、ターコイズブルーのラグーンを独り占めしているような気分を味わえる。
セラピストの指導による水中セラピー「ワッツ」から、ホテル自慢の海藻やシリカのスクラブを自分で塗るもの、あるいはバスローブ姿で月面のような景色を眺めながらスタッフが注いでくれるハーブティーを楽しむものまで、さまざまな方向から健康への旅を楽しむことができる。
予算内でベスト
東京については、「OMO5東京五反田」と「由縁 新宿」について触れたい。 驚くほど円安が進んでいるとはいえ、東京で1泊800ドル(約12万6000円)以下の高級ホテルを見つけるのはほぼ不可能だ。そのため、この2つの素晴らしい選択肢は甲乙付けがたい。
【OMO5東京五反田】
OMO5東京五反田は、4月にオープンしたばかりだ。モダンで明るい色調の客室には畳が敷かれ、東京の超高級ホテルの醍醐味(だいごみ)であるきらめくスカイラインの眺望が楽しめるが、料金は4分の1で済む。
私たちは1泊180ドル前後の部屋を見つけた。スタッフは常に親切で、洗濯機まである。Tシャツを洗濯してもらうのに15ドルも払いたくない人に便利だ。
【由縁 新宿】
由縁 新宿には、奇跡のような130ドルで宿泊できる部屋がある。 確かに部屋は狭いが、シックでスカンジナビアのミニマリズムを少し取り入れた、独特な和の雰囲気だ。一番の魅力は箱根から本物の温泉を引いた宿泊客専用の温泉だ。
原題:The 7 Best Hotels We Stayed in This Year, From London to Tokyo(抜粋)
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