2024年はニューヨーク市の住宅市場全体としては月並みな年だったが、超高級住宅にはほとんど前例のない価格高騰が見られた。

「1000万ドル(約15億7000万円)以上の市場、つまり私がトロフィー市場と呼んでいる市場では、過去2番目にすごい年になった」と、24年のニューヨーク市高額物件販売リポートをまとめたブローカーのドナ・オルシャン氏は述べた。

同氏によると、1000万ドル以上の物件で少なくとも278件が成約した。「相変わらず、富裕層はさらに裕福になり、それ以外の人々は取り残されているようだ」と話した。

オルシャン氏はさらに、400万ドル以上の物件の成約額は今年110億ドルを超え、昨年から8.5%増えたと説明。この価格帯の物件の成約件数は1295件に達した。

この価格帯ではマンションの平均希望価格が上昇しており、1平方フィート(約0.09平方メートル)当たり3000ドルを超えているという。「これは過去最高の数字だ」と同氏は述べた。

価格高騰の背景には、新築物件の人気がますます高まっていることがある。「この数字は完全に、新築物件の販売がけん引したものだ」とオルシャン氏は指摘し、「人々は新しいものを求めている。コンドミニアムで得られる所有の自由、新しいインフラ、設備を求めている」と語った。

そのあおりを受ける形で、共同での所有形態となる物件コープの市場シェアは引き続き緩やかに減少し、同じような低層物件が並ぶタウンハウスの販売は横ばい状態にあるとオルシャン氏は話した。

「大きな問題の一つは、コンドミニアムとコープの価格差が拡大し続けていることだ」という。400万ドル以上のカテゴリーでは「コンドミニアムの販売数は879件なのに対しコープは265件だった」と同氏は述べた。

オルシャン氏のトップ10リストには、コープが1件も入っておらず、タウンハウスは2件のみだった。

今年これまでにニューヨーク市で売買された最も高額な物件は以下の通り。

500 W. 18th St.、イーストタワーのペントハウス26:4500万ドル

チェルシーにある2つのタワーから成る「ワンハイライン」のイーストタワーのペントハウス

500 W. 18th St.、ウエストタワーのペントハウス36:4700万ドル

ワンハイラインのウエストタワーにあるペントハウス

4 E. 79th St.:5600万ドル

セントラルパークのすぐそばにある巨大な22部屋のタウンハウス

730 Fifth Ave.、 24A: 6160万ドル

ホテル「アマンニューヨーク」と同じ建物にあるコンドミニアム

730 Fifth Ave.、23A: 6400万ドル

アマンニューヨークのフルフロア物件

138 W. 11th St.:7250万ドル

ニューヨークのダウンタウンにあるタウンハウスとして過去最高額を記録した物件

520 Park Ave.、ペントハウス63:7900万ドル

ロバート・A・M・スターン氏設計のコンドミニアムの最上階にあるペントハウス

220 Central Park South、18Aと63:8150万ドル

2区画を合わせた取引。 価格は1平方フィートあたり1万3700ドル以上となり、今年のリストの中で最高額

217 W. 57th St.、107: 1億1740万ドル

セントラルパークタワーの最上階付近にあるペントハウス

730 Fifth Ave.、26A: 1億3500万ドル

アマンニューヨークの最上5フロアを占めるこのコンドミニアムは、未完成の状態で引き渡された

原題:New York’s Top 10 Residential Sales Show An Ultraluxury Boom(抜粋)

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