(ブルームバーグ):ヘッジファンドのブロード・リーチ・インベストメント・マネジメントは、新興国市場の主要通貨をショートしている。トランプ次期米大統領の関税政策による混乱を市場はまだ十分に織り込んでいないとみているからだ。
ロンドンに拠点を置く18億ドル(約2800億円)規模の同ファンドは、メキシコ・ペソのほか北アジア、中東、東欧の通貨のショートポジションを組んでいると、ブラッドリー・ウィッケンズ最高経営責任者(CEO)がインタビューで述べた。
同ファンドは新興国市場のディストレスト債、フロンティア市場債などに賭け、今年に入って20%のリターンを上げているが、来年に向けて方向転換している。
ウィッケンズ氏は「来年は多くのチャンスがあるが、より迅速な市場となり、機敏さが求められるだろう。関税が主要なテーマの2025年は、24年のようなクレジット主導ではなく、より為替中心の市場になるだろう」と語った。
予想されるトランプ氏の関税攻勢に対応したポジションをまだ構築していない投資家、関税を巡るトランプ氏の発言が公約というよりも交渉手段に過ぎないのではないかと疑問を抱いている投資家は、不意を突かれる可能性が高いとウィッケンズ氏は考えている。
32の主要な新興国およびフロンティア市場の通貨のうち、24の通貨が今年に入ってドルに対して下落しているが、ウィッケンズ氏は状況がさらに悪化するとみている。ベンチマークとなるMSCI新興国通貨指数は今週、24年の上げを失い19日に0.5%下落した。
ウィッケンズ氏は、トランプ氏の関税提案が実行される「政策であるならば、市場は価格設定の面でもっとしなければならないことがある」と述べた。「実行計画はすでに練り上げられているため、トランプ氏は中国関税について迅速に動くと予想している」と付け加えた。
同氏のファンドが組む通貨ショートポジションの一つはメキシコ・ペソ。同国の輸出は大半が米国向けだ。北アジアの通貨もショートしているが、これは投資家が貿易摩擦の激化と米国の関税引き上げをまだ十分に織り込んでいないためだとウィッケンズ氏は説明した。
原題:Hedge Fund Broad Reach Bets on Trump-Related Currency Shorts (1)(抜粋)
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