英ロンドンで住宅賃料が過去最高のペースで高騰しており、住宅危機が深刻化している。

英政府統計局(ONS)が18日に発表したロンドンの11月の民間賃貸住宅の家賃は、前年比11.6%上昇。伸び率は前月の10.4%から加速し、2016年に前年同月比での記録を始めて以来最大となった。前月比では1.6%上昇と、こちらも過去最大の伸び。

この数字は、労働党新政権に対して住宅供給を拡大するよう圧力を強めそうだ。住宅問題は7月の総選挙でも主要な争点で、労働党党首として選挙に臨んだスターマー現首相は当時、住宅不足を緩和するため今後5年間で150万戸の住宅を建設すると公約した。だが、高金利と不動産市場の軟化を背景に住宅建設は急減。課税強化と高い住宅ローン金利に対応し、家主が賃貸よりも売却に回るとの懸念もある。

民間住宅の賃料変化率(前年同月比)、ロンドンと英国全体

住宅ローン仲介のコレコでマネジングディレクターを務めるアンドルー・モントレイク氏は、「住宅ローン金利の上昇や課税強化を受けて、家主が家賃を引き上げざるを得なくなっているケースが多い」と指摘。「賃貸はまさに過酷としか言いようがない」と述べた。

英国全体の家賃は前年比9.1%上昇。前月の8.7%上昇から加速し、今年記録した過去最高の伸びに再び迫った。前月比では1%上昇した。

一方、不動産情報サイトのズープラの数字では、英国の家賃インフレは向こう3年で過去最低のペースに冷え込むもようで、借り手にとってより楽観的な見通しが示されている。ズープラの指標は新規の賃貸物件を追跡しているため、よりタイムリーだ。ONSの指標は賃貸物件の在庫全体を対象とする。

ONSのデータによると、ロンドンの民間住宅平均家賃は2206ポンド(約43万円)に上昇。今年の年初から215ポンド値上がりした。

民間住宅の平均家賃、ロンドン(上の折れ線)、英国全体(下)

原題:London Rents Rising at Record Pace Add to Pressure on Labour(抜粋)

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