24年11月の小売・飲食サービス売上高は、前月比+0.7%(前月同+0.5%)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+0.6%(筆者予想同+0.5%)を上回ったうえ、9、10月合計で0.2%上方修正された。自動車・同部品、無店舗小売が牽引する形で、小売売上が堅調さを維持した。
主要13業態のうち、縮小が5業態(前月5業態)、拡大は7業態(前月7業態)と変わらなかった。衣料品、一般小売、飲食店が減少に転じたほか、食品・飲料、その他小売が減少幅を拡大した。また、家電、建設資材が鈍化、ガソリンスタンドが同率の伸びとなり、薬局が横ばいにとどまった。一方、家具、スポーツ用品・本・趣味用品が増加に転じたうえ、積極的な販促によって自動車・同部品、無店舗小売は加速した。

11月小売・飲食サービス売上高(前月比+0.69%、前月同+0.46%)の主要13業態の前月比寄与度をみると、押し下げ寄与の業態は、大きい順に、その他小売り(▲0.07%、同▲0.02%)、飲食店(▲0.06%、同+0.12%)、食品・飲料(▲0.02%、同▲0.01%)、衣料品(▲0.01%、同+0.02%)、百貨店を含む一般小売(▲0.01%、同0.00%)となった。また、家具(0.00%、同▲0.01%)、家電(0.00%、同+0.03%)、薬局(0.00%、同▲0.06%)、ガソリンスタンド(0.00%、同+0.01%)はゼロ寄与にとどまった。
一方、押し上げ寄与の業態は、大きい順に、自動車・同部品(+0.51%、同+0.34%)、無店舗小売(+0.32%、同+0.02%)、建設資材(+0.02%、同+0.05%)、スポーツ用品・本・趣味用品(+0.01%、同▲0.01%)と続いた。
他の分類では、自動車を除く小売・飲食サービス売上高が前月比+0.2%(前月同+0.1%)と市場予想中央値の同+0.4%(筆者予想同+0.3%)を下回った(9、10月合計0.1%上方修正)。
一方、GDPの算出に使用される自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高(コントロール・グループ)は、前月比+0.4%(前月同▲0.1%)と市場予想中央値と一致した。また、小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比+0.2%(前月同+0.1%)と加速した(9、10月合計0.1%上方修正)。コア小売売上高は、3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で+6.0%(前月+5.5%)とプラス幅を拡大し高い伸びとなったほか、10-12月期で前期比年率+4.0%と7-9月期の同+5.8%から減速しているが、高い伸びを維持している。
10-12月期の実質個人消費は、7-9月期にハリケーン襲来や港湾ストへの備えで需要が押上げられた反動のほか、政策への懸念、先行き不安、節約志向の強まりなどの影響を受けているものの、実質給与所得の増加、企業の販促、資産効果等によって支えられ、前期比年率+2.6%(7-9月期同+3.5%)と堅調さを維持すると予想される。




(※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 桂畑 誠治)