フランスの政局や財政を巡る手詰まり感で、国内経済は低成長に陥りつつある。就任したばかりのバイル首相には内閣を発足させ、2025年度予算を早期にまとめるよう圧力が強まっている。

ユーロ圏2位の経済規模を誇るフランスの内需は弱く、異例なほど堅調だった輸出による支援も減速し、来年1-3月(第1四半期)と4-6月(第2四半期)の成長率はわずか0.2%増にとどまる見通しだ。同国の統計機関による最新予測が示した。

今回の見通しは、国民議会(下院)総選挙以降の政治的混乱がさらに経済を巻き込んでいることを示す新たなシグナルとなる。企業や家計のマインド指標は数カ月前から低下傾向にあり、フランス銀行(中央銀行)も16日に成長率見通しを下方修正した。

国立統計経済研究所(INSEE)のエコノミスト、ドリアン・ルシェ氏はパリでのブリーフィングで、「成長率は小幅にとどまるだろう」と指摘。「公的支出が急ブレーキをかけるほか、企業は不透明感の中にあり、投資が低調となる見込みだ。貿易は通常に戻り、消費者だけがフランスの成長を少し支えるだろう」と述べた。

バルニエ前首相が内閣不信任決議案の可決で退陣に追い込まれ、25年度予算案も廃案になった後、バイル新首相が組閣と財政再建計画をまとめるために先週任命された。

だが、対立する三つのブロックに分断された国民議会での過半数確保は容易ではなく、バイル首相は同じ難題に直面している。バイル氏が組閣協議を続ける中、議会は来月1日の政府閉鎖を回避するため緊急法案を審議することになっている。

バイル首相は異なる政治的志向を持つ議員らと協力し、25年度予算案について交渉することを目指す方針を示している。

「非現実的な楽観論かもしれないが、少なくとも必要なコンセンサスに少しでも近づく確証を得るため、それぞれが一歩を踏み出す道は存在すると確信している」とバイル氏は述べた。

INSEEは来年6月より後の見通しを示していないが、25年にプラス1.1%成長というバルニエ前内閣が想定した成長率にフランス経済を回復させるには、相当急激な改善が必要であることを示唆している。

ルシェ氏は「25年に1.1%成長を達成するには、年初からポジティブなリスクが顕在化しなければならない」とした上で、「われわれの中心的なシナリオは成長率が低迷を続けるというものだ」と述べた。

原題:France’s Political Chaos Traps Economy in Low Growth Rut(抜粋)

--取材協力:Caroline Connan.

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