米テキサス州のアボット知事(共和)は新たな野望を抱いている。同州の経済規模がフランスを抜き、世界有数の経済大国と肩を並べるようになることだ。

テキサス州のアボット知事

旺盛な投資や、トランプ次期大統領が計画する石油・ガス業界の規制緩和を追い風に、同州の州内総生産(GDP)が近くフランスのGDPを上回ると、アボット氏は予測。

ダラスで先週開催された会合で企業経営者らに対し、「これから発表される新しい数字では、テキサスはフランスを抜き、世界7位の経済規模になる」と語った。

これが大風呂敷かつ早計であることはほぼ間違いないが、いずれ正当性が証明される可能性はある。テキサス州のGDPは2023年に約2兆6000億ドル(約400兆円)で、フランスの3兆ドル超に追い付くには、約17%増加する必要がある。今年はテキサス、フランスともに緩やかな成長ペースが予想されており、ユーロが対ドルで約5%下落し、最近のフランス政局混乱で企業の景況感が落ち込んでいる中でも、フランスがまだ優位を維持しそうだ。

フランスGDP(上の折れ線)、テキサスGDP(下)

しかし、フランスの景気見通しは悪化しつつある。同国の極右政党・国民連合(RN)を実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏は、予算案での対立を巡り、内閣を総辞職に追い込んだ。ムーディーズ・レーティングスはフランスの信用格付けを引き下げたほか、S&Pグローバルが発表した同国の民間企業活動は4カ月連続で縮小した。

一方、テキサスは人口が急増し、企業による同州への移転および投資も増えている。アボット氏が知事に就任した2015年当時、同州のGDPは1兆6000億ドルに満たなかった。フランスは2兆4000億ドルだった。

米国ではニューサム知事(民主)が率いるカリフォルニア州が最大の経済規模を誇り、GDPは3兆9000億ドル。日本やドイツとそれほどかけ離れていない。

主要国と比較したテキサスのGDP

原題:Texas Economy Will Top France’s Thanks to Trump, Abbott Says(抜粋)

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