2024年11月14日、欧州委員会(以下、委員会)はMetaに対して、市場濫用行為を理由として7億9772万ユーロ(約1300億円)の制裁金を科すことを公表した。本事案は2021年6月に公式調査が開始され、2022年12月に異議申し立て(Statement of Objections)がMetaに送付された。異議申し立てに対して2023年6月にMetaから反論が提出されたものの、今回、制裁金賦課決定に至ったものである。

問題とされた行為は、以下の2点である。

(1) Facebook Marketplace(以下、FM)というオンライン・クラシファイド広告(短い広告であって、項目別に集められたもの。いわゆる三行広告と呼ばれる。日本のクラシファイド広告専門のプラットフォームとしてはジモティ2などがある)をSNSであるFacebookに抱き合わせた行為。Facebookのユーザーは自動的にFMにアクセスさせられ、望むかどうかにかかわらず、常時、FMを見ることになる。このような抱き合わせ行為は、FMに他のオンライン・クラシファイド広告を取り扱う競合者にはない実質的な優位性を与え、競合者を排除していると委員会は判断した。

(2) Metaのプラットフォーム、特に非常に人気のあるFacebookとInstagram上で広告を掲載するオンライン・クラシファイド広告業者に一方的に不公正な取引条件を課す行為。この行為は、競合者であるオンライン・クラシファイド広告業者の生成するデータをFMのためだけの目的で利用することを可能にした。