(ブルームバーグ):シンガポール最大の銀行、DBSグループ・ホールディングスは、ロシア人富裕層向けにウェルスマネジメント・チームを強化している。一方、他の多くのグローバル銀行は、制裁拡大のリスクを懸念し、こうした業務を縮小もしくは撤退している。
公的記録によると、DBSはここ数カ月で2人を採用し、シンガポール在勤のロシア語を話すプライベートバンカーを少なくとも9人に増やした。
採用されたうちの1人は6月にユニオン・バンケール・プリヴェから移籍し、もう1人はクレディ・スイス出身で9月にスタートした。
DBSはここ2年間、クレディ・スイス・グループやジュリアス・ベア・グループなどライバルからプライベートバンカーを採用。アジアにおける資産運用でロシア人富裕層に選好されるようになった。同行の株価は3日、上場来高値を更新。一時約2.6%高と、約1カ月ぶり大幅高となった。
ロシア人のウェルス資産は、DBSがプライベート・リテールバンキングの顧客向けに運用する4010億シンガポール・ドル(約44兆7000億円)のごく一部にとどまっているものの、その成長ペースは、おおむね縮小モードにある他の銀行とは対照的だ。
UBSグループやHSBCホールディングスなどの金融機関は、米欧の厳しい制裁を警戒し、そうした顧客との関係を制限もしくは完全に断ち切っている。
シンガポール政府は、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻後、ロシアの銀行、暗号資産(仮想通貨)取引、同国への輸出に的を絞った制裁に踏み切ったが、制裁対象外の顧客に対する一部のバンキング・ウェルスマネジメント業務は継続されている。
DBSの広報担当者は「他の責任ある銀行と同様、当行の商品・サービスを選好する顧客は誰でも歓迎し、当行を選んでくれたことに感謝する」とした上で、制裁スクリーニングやマネーロンダリング(資金洗浄)監視を含む「当行の内部統制やリスク許容度に抵触する関係者とは一切取引しない」とコメントした。
DBSにはロシア人顧客のみを対象とする特定のチームはなく、ロシア人顧客のみをターゲットにしているわけではないと、広報担当者は付け加えた。
原題:DBS Hires Private Bankers for Rich Russians as Rivals Balk (1)(抜粋)
(株価を追加して更新します)
--取材協力:Eduard Gismatullin、Yuliya Fedorinova.
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