米シアトルを拠点とする大手デベロッパーが、オフィス物件2棟を担保としたローンでデフォルト(債務不履行)に陥った。2棟のオフィスは、サンフランシスコ連邦準備銀行の支店がかつて入居していた物件など、ともに評価が高いものだった。

米マーティン・セリグ・リアルエステートの関連企業が、2億ドル(約300億円)余りのローンで債務不履行となっている。貸し手のアコレキャピタルがワシントン州キング郡に提出した11月15日付の書簡で明らかになった。同書簡によると、他に措置が講じられない場合、通知から30日後に物件の所有者が変更となる。

マーティン・セリグ・リアルエステートは「既存の債務を再編し、厳選した資産を売却する広範な戦略の一環」としてアコレキャピタルへの所有権移転を検討しているとした。アコレの担当者は、コメントの要請に返答しなかった。

マーティン・セリグは、かつてシアトルのオフィススペースの約3分の1を所有していた。2棟のオフィスに関して野心的な計画を立てていたが、タイミングが悪かった。改修工事の直後、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、工事遅延やオフィススペースの需要の圧迫が起きたのだ。

キング郡によると、同郡の主要なオフィスビルの評価額の合計は2024年、前年比で32%減少している。

サンフランシスコ連銀の支店が入居していたオフィスについて、マーティン・セリグは階数を増やす一方、歴史的な部分は一部を残す形で改修した。現在はデロイトなどが入居している。キング郡は22年、同物件の価値が9700万ドル近くに上ると評価していた。評価額は足元で5700万ドル強にとどまる。

米国で都心部のオフィスビルは苦戦しており、ロサンゼルス中心部のデベロッパーも債務不履行に陥っている。CBREグループによると、シアトルでは7-9月(第3四半期)、都心部のオフィススペースの約25%が空室となった。

原題:Seattle Developer Defaults on Renovated Downtown Office Towers(抜粋)

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