米中西部ミネソタ州セントポールにあるベセル大学では、今年の学費は4万4050ドル(約680万円)だが、来年は半分近くの2万5990ドルとなる。

米国各地の大学ではここ数年、より多くの学生を集めるために学費が大幅に引き下げられている。趣のある湖畔に小規模のキャンパスがあるベセル大学もその一つだ。この動きは学費の「リセット」と呼ばれており、名門大学以外の学校で高額な費用のかかる学位を取得することに疑問を持つ家庭が増える中、苦境にあえぐ大学がこうした戦略を取っている。

ベセル大学などで行われている学費の値下げは、大学教育の断層を浮き彫りにしている。アイビーリーグと呼ばれる北東部の私立大8校やその他の名門大学では、学費は年間10万ドルに迫る勢いだ。一方、比較的規模が小さく入学難易度の低い私立大学では、閉校に追い込まれるキャンパスが相次ぐ中、学費の引き下げを行う大学が増えている。

ウェルズリー大学の経済学教授、フィリップ・レバイン氏は、「これはリスクを伴う戦略だ」と指摘。大学側は学費を高く設定し難易度と質を示す一方で、成績優秀者向けの奨学金制度で学費を下げ入学志願者の関心を引いているとし、「定価を5万ドルに下げて成績優秀者を諦めれば、そうした利点は失われるだけだ」と述べた。

ベセル大学では今年、新入生約500人が入学したほか、来校者が昨年同時期と比べて40%増加した。同大で開催された直近3回の募集イベントでは、来場者数が倍増した。

アイオワ州のワートバーグ大学も、学費の見直しを実施した学校の一つだ。学生のほぼ半数がスポーツに携わる同大学では、今秋から学費を45%余り引き下げ2万5000ドルとした。コンコーディア大学テキサス校でも今年度の学費を2万3500ドルと40%近く引き下げた。

ここ10年で全米各地で100校余りの学校が授業料を大幅に引き下げた。だが、超難関校では事情が異なる。アイビーリーグのほとんどの大学で学費はすでに9万ドルを超えており、手厚い奨学金制度があるものの、学生の約半数は学費全額を支払っている。

私立大学では閉校を避けるため学費を大幅に引き下げている

原題:Private Colleges Slash Tuition by 50% as Ivies Near $100,000(抜粋)

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