(ブルームバーグ):全米の雇用が10月に2020年以来の低い伸びにとどまったことが今月1日発表の統計で分かったが、新たに示された州別の雇用データはこうした減速が一時的な現象である可能性を強めている。
労働省労働統計局(BLS)が19日に発表したデータによれば、2つのハリケーンに見舞われたフロリダ州とボーイングの工場があるワシントン州で先月、雇用が減少した。ボーイングでは大規模な従業員ストライキが続いていた。
フロリダ州の非農業部門雇用者数は10月に3万8000人減った。これは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生時を除くと、17年以来最大の落ち込みだ。ワシントン州では3万5900人減った。

BLSは一部州の給与所得者数はハリケーンの影響を受けた公算が大きいとしながらも、「雇用と労働時間、所得の推定値における前月比の純効果を定量化することは不可能だ」と説明している。
州別のデータからは、ハリケーンとボーイングのストが10月の雇用統計に与えた影響が見て取れる。ボーイングのストは数週間続き今月に入り終結した。
9、10両月にハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」の影響で多くの働き手が一時的に就労不能となったフロリダ州では、建設や娯楽・ホスピタリティー、貿易・運輸といった分野で非農業部門雇用者数が最も減少した。ワシントン州で急減したのは製造業の雇用だった。
JPモルガン・チェースのアナリスト、アビエル・ラインハート氏は19日の調査リポートで、過去のハリケーンを踏まえると、「11月の雇用統計で雇用がほぼすべて回復することが示されると見込んでいる」と指摘した。
それでも、10月の州別データには、労働市場の低迷がハリケーンやストの影響を大きく超えて広がっている兆しも見受けられる。
ウェルズ・ファーゴのエコノミストらによると、29州で雇用者数が減少し、これは23年7月を除きコロナ禍以来最多で、「全米で雇用ペースが鈍っており、州べースでの失業率上昇は多くの州で労働市場が勢いを失っていることを示す兆候」だとしている。
原題:State-Level Data Suggest US Payroll Weakness Is Likely Temporary(抜粋)
--取材協力:Vince Golle.
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