(ブルームバーグ):米電気自動車(EV)メーカー、テスラのファンは、ドナルド・トランプ氏が米大統領選挙に勝利したことで再び活気づいている。投資家はトランプ氏の返り咲きがイーロン・マスク氏率いる同社に多大な利益をもたらすと確信して一斉に株式を買っており、株価上昇の勢いはとどまるところを知らないように見える。
11月5日の米大統領選以来、テスラ株は39%余り上昇し、時価総額は約3000億ドル(約46兆1400億円)増えた。同社株は11日、約9%高の350ドルで終了。
市場の専門家はテスラ株について、典型的な「モメンタム」銘柄だと分析。こうした銘柄は、投資家の心理がいずれかの方向に急転換すれば、利益も損失も急速に膨らむ傾向があると指摘する。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「マスク氏はトランプ氏の勝利に全力を傾けていたため、市場がテスラをその恩恵を受ける企業と見なすのは理解できる。その上、押し目買いや上値追いを好む市場と、そのためにレバレッジやオプションをしばしば活用するトレンドも重なり、ばかげたほどの急伸につながった」と分析した。

オプショントレーダーは一段高に期待している。3カ月物コールのプットに対するプレミアムは2021年初め以降で最大となり、株価が450ドル以上の水準に達すると見込んだ取引が大量に行われている。
実現すれば、テスラ株は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に記録した日中最高値の414.50ドルを更新することになる。セルサイドの一部アナリストはこの新たな熱狂を受け入れている。
ウェドブッシュのアナリスト、ダニエル・アイブス氏はテスラの目標株価を従来の300ドルから400ドルに引き上げた。同氏は「人工知能(AI)と自動運転車の市場機会はテスラだけでも1兆ドルに相当すると推定される」と指摘。テスラ株の投資判断を「買い」相当に据え置いた。
ただ、ウォール街の目標株価は株価上昇ペースに追い付いておらず、今後1年で32%の下落を示唆。米選挙での共和党の勝利からテスラが得られる利益は過大評価されている公算が大きいとして、株価がどこまで上昇するかに懐疑的な見方を示すアナリストもいる。
テスラ株の14日相対力指数(RSI)は11日に81で取引を終えた。RSIは強気・弱気の価格モメンタムを示す指標で、70を上回れば近く下落し始める可能性を示唆すると考えられることが多い。
モーニングスターのアナリスト、セス・ゴールドスタイン氏は先週、「選挙による恩恵が期待されるにもかかわらず、テスラ株は割高に思える」と述べていた。
原題:Tesla Fans Go All In Driving $300 Billion Rally on Trump Win (1)(抜粋)
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