米大統領選挙の民主党候補、ハリス副大統領は、未実現利益(含み益)への課税を目指す取り組みについて沈黙を守っており、同党が掲げる富裕層への課税強化に向けた重要な施策をハリス氏がどれほど強く推進するか疑問が生じている。

ハリス氏はすでにキャピタルゲイン課税を巡りバイデン大統領よりも小幅な税率引き上げを提案している。ただ企業や富裕層への増税という政権のビジョンにおいて、未実現利益への課税など他の重要な方針に対する支持については詳細な説明を避けている。

ハリス副大統領

ハリス氏の陣営の関係者が匿名を条件に明かしたところによると、ハリス氏は依然として富裕層に対するミニマム税を支持しているという。ミニマム税とは資産1億ドル(約152億円)以上の富裕層に対して最低25%の所得税率を適用するというものだ。ハリス氏の陣営はミニマム税の詳細は示さず、未実現利益の扱いに関する直接のコメントを控えた。

ハリス氏の陣営は、多くの富裕層が相続人に遺産を譲渡する際にキャピタルゲイン課税を完全に回避することを可能にする税法の条項を変更するかについても口を閉ざしている。

未実現利益への課税はバイデン大統領の予算教書の中でも意見が分かれる争点の一つだった。批判派は施行が曖昧で成長の妨げになるとみる一方、擁護派は富裕層への課税強化に向けた革新的な方法として歓迎した。

ハリス氏の沈黙は、共和党候補であるトランプ前大統領との接戦が世論調査で示される中、共和党員や無党派層を取り込むためにハリス氏が企業寄りの姿勢を強め政策アジェンダを中道寄りにしている中で続いている。

ハリス氏は22日、スペイン語放送局テレムンドとのインタビューで、自身を「実利的な資本主義者」とし、次世代のリーダーシップの一員として「米国の新しい産業を構築するために民間部門と積極的に協力している」と述べた。

原題:Harris Goes Quiet on Biden’s Push to Tax Unrealized Gains(抜粋)

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